宮本雄二のレビュー一覧
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中国共産党の歴史的経緯を踏まえた上で習近平やその政治を語った一冊である。
習近平だけでなくそれ以前の中国共産党の政治の歴史を記している。そのため無学者でも理解がしやすい内容であった。強いて言えば読み仮名が欲しかった。
毛沢東というカリスマ溢れるリーダーが共産党を設立。その後、鄧小平や江沢民と受け継がれていく中で段々と腐敗していく中国共産党。派閥争いやその構造上の問題、方針の問題など様々な問題を抱えた状態の政府を任された習近平は具体的な目標を掲げ実行していく。
本書を読む前は中国の強行姿勢は「自国の利益」だけを重視したものだと考えていた。しかし、中国国民は日本人とは意識の段階で「世界におけ -
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【189冊目】2010年まで中国大使を務めた著者による現代中国の分析と未来予想図。明快な筆致と、基礎的な知識を網羅した内容で、必読の書だと感じた。
以下、備忘。
・現在の体制は習・王体制と呼ばれるほど、紀律担当の常務委員の王岐山の重要性が高い。
・2017年の共産党全国代表大会では、その王岐山が引退するかどうかが注目される。
・中国民衆は、環境汚染と食の安全の2つに本気で怒っている。
・共産党の基層単位は、学校や企業、軍などあらゆるところに及んでいて、「共産党の指導」による統治が全国に及ぶよう作用している。
・現在の共産党による統治の正当性は、高い経済成長により支えられている面が大きい。
・強 -
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ようやくマトモな中国論に出会った。特にトラ退治の対象になっている人物の背景や繋がりがよく理解できた。
チャイナスクールの代表たる著者は中国に好意的な見方をしているが、逆に本書を読んで中国の限界が見えた気がする。共産党一党独裁体制のままで中進国のワナから抜け出せるとは思えない。これからも社会は複雑化する一方であり、先進国になった段階で統治能力を越えるだろう。その意味で著者の洞察は的確である。
外交と軍事の将来についても、中国びいきが過ぎて正しい認識ができていないようだ。2016年現在の南シナ海の状況をどう説明するのか?尖閣とは異なり、南沙諸島での軍事基地建設は資源確保=生き残りが目的ではない。西 -
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本書の題名が示す様に中国はトップに立つ人物によって国の性格が大きく変わる。それは中国の実体が共産党だからであろう。つまり共産党が何を考え、組織が安定している華道家が中国にとって最も重要なことであると言える。
習近平氏は国民のベクトルを合わせるために、15の改革項目を掲げ、2020年までに結果を出すとしている。残念ながら、同じ2020年に開催予定の東京オリンピックメイン会場の建設費用問題を議論している日本とは視座の違いを感じざるを得ない。
また、今まさに国会で議論している安保関連法案についても、明治時代に福沢諭吉が唱えた「脱亜入欧」と大差ない様に思える。一方、中国は中華思想に基づき、独自の社 -
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中国大使も経験した元外交官による日中関係をいかにすべきかという論考。現代の国際的な枠組みを踏まえ、習近平外交を分析し、日本の対中戦略について検討する。著者も述べているとおり、叩き台としての問題提起である。
対米開戦の教訓として広い長期的な視点にたって世界の大きな潮流を眺めること。第一次大戦で欧米は痛切な反省と平和への希求を共有したが、日本はその世界秩序の底流の理念や価値観の変化を感知できなかった。また、中国侵略の教訓として中国の民族主義の力を過小評価した。
中国の政策決定過程においての党と国民の力関係は国民に傾いている。一般の中国人には儒学より道教が大事で、義が重視される。党や政府が義に反する -
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読んでみたい本だった。チャイナスクールの出身とされ、
北京駐在も三回で、中国の現代史をみてきたからだ。
読みながら、言葉の選び方が、浅すぎるとおもった。
中国共産党の『隠したがり体質』と『相手を過酷に倒す仕組み』
という表現に、まったく インテリジェンスを感じない。
おじさん的表現だよ。
それに、テレビでの戦争ドラマを単純に見ている。
あぁ。その背景をもっと、あばけよ。と言いたくなってくる。
中国のインテリジェンスに取り組んできたとしては、
もう少し、言うべきことがあるだろう。
『大地の咆哮』での、すざましい執念みたいなものが感じられない。
習近平と一番たくさん食事をした 経験を持つには
『中