更地郊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ななな、何やこの小説は!? とんでもないものを読まされたぞ。
すばる文学賞っていう純文学の賞を受賞しているのだが、選考では面白いという評価とわからないという評価に二分されたという。
僕は面白かった。
主人公・野中は上司のパワハラで退職し、アパートに引きこもっていた。怠惰な生活、荒れる部屋の中、風呂に入るのも面倒で肌もボロボロのなっていく。
見かねた大学時代の友人・忍は「スト6の対戦をしてくれ」と提案する。引き換えに、月に10万円渡してくれるという。
以来、月一回のメンタルクリニックと忍とのオンライン対戦に明け暮れる日々。
九州の実家では父親が病気で死にかけていて、母親からは早く帰るよう懇願さ -
Posted by ブクログ
忍とのサイゼでの会食場面から始まる、地元に戻る"都落ち"までの日常。こういった社会人以降も続く閉鎖的な友人関係に憧れる。
ストリートファイターを大学時代からの共通トピックとしているものの、その他日常で巻き起こる騒動やら周辺人物との関わりもどこか温かみを感じる。こういったやり取りをして、それを最後に東京を離れる哀愁も、最後になる忍との別れも、その後の主人公・野中の生活も気になるところ。
文章としては読みやすいのに、破綻しないレベルでギャグやユーモアが散りばめられていて、作者の名前然り町田康のような趣がある。
状況は芳しくないものの、生命をなんとか維持して復活・更生したような -
Posted by ブクログ
東京の西の方に住む、鬱からの無職男野中と、その腐れ縁の友人忍。忍は内圧の分散と言って野中に毎月十万を送り、通信ゲームを一緒にプレイするように言った。
そんな生活を送っているうちに、父親の病状悪化を機に、これで俺も都落ちか、と九州に帰ることにする野中。しかし帰る前、灰色の日常の中に異変が飛び込んでくる。
最後までくだらない。めちゃくちゃドラマチックでもない。けれど灰色に少し色味が加わったような、そんな読後感。
ゲームを通じた腐れ縁、ベタベタに仲良いわけじゃないけれど、とりとめのないくだらない話変な話が出来る気のおけない関係の野中と忍。
底辺青春小説とは言うけれど、眩しかないけど羨ましい。 -
Posted by ブクログ
第49回すばる文学賞受賞作品の本書を私が読みたいと思ったのは、金原ひとみさんと岸本佐知子さんの選評に興味を惹かれたからであり、特に岸本さんに関しては、海外の作品ではなく日本のそれを推しているのが、また珍しいなと思ったことも大きかった。
物語の印象として、岸本さんのエッセイに書かれているような奇妙ながらもクスッと笑えてしまう感覚があり、それは一見、意味不明ながらも読んでいく内に「なるほど」と腑に落ちるタイトルや、『あり得ない』と思える部分と『あり得るかも』の狭間に佇む絶妙さが魅力のエピソードに潜まれた、くだらなさの中にも漂う人間味が魅力となっている。
旧友で雇用主の「忍」(27歳)の存 -
Posted by ブクログ
都落ち択って何⁉︎っと思って
本を開いたら
久々に読んでいて笑ってしまうし、
その中で微かな青春も感じ取れる
不思議な本でした。
メンタルを病み、落ち込んでいた主人公に
スト6の練習に付き合ったら10万円
くれると話す友人。
こんなストーリー初めてで読む手が止まらなかった。
そんな中で主人公が地元に帰る(都落ち)までに
起きる謎の事件とそれに対しての
主人公の行動は想像の斜め上を超えていて
笑えた。
今度からメルカリで呪物的なのを
見てしまったらこの本を思い出すかもしれない。
そして主人公と友人の友情もよかった。
こんなふうにしょうもないことで笑ったりできる
友人欲しいね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2025年のすばる文学賞受賞作。
選考で面白いという評価とわからないという評価に二分されたという。
確かに本作の紹介文にも出てくるテプラで貼られたメッセージ(宣伝見ればわかるのであえてここでは書かない)や、主人公が固執するマウンテンデューなど話題となりやすいアイテムが多い一方で、それがどうしたの?と聞かれると説明は難しい。
しかし、そのアイテムを取り上げずに語れば、
主人公は親の呪縛から離れるために上京したものの馴染めず、引きこもり的な生活を8年続けている。
住んでるアパートは彼の部屋以外はリフォームが済んでいて、彼が出て行くのを待っているというのは、彼が結局親と離れても独り立ちできていない、