アブドゥルラザク・グルナのレビュー一覧
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ネタバレ主人公の境遇の変化に従って、19世紀後半のアフリカにおけるさまざまな階層を描く。
親との生活は内陸の貧しい町、周囲のさらに貧しい奴隷たちの尊厳、子供より彼らへの喜捨を優先する親。親の借金の質に取られ、大商人の使用人に。そこでも奴隷との交流に、奴隷であっても心の強さを描く。商隊の遠征で奥地で罠にはまり、窮地での大商人の態度、命からがら戻ってからも奴隷や出資者との誠実な交渉で、正しい人物像。アフリカの人々は、貧しくも気高い精神を持つことを訴えているように見える。
少年は抜群に美しいらしく、大人の男女の美少年への視線、少年自身の、何人かの少女への淡い思い、これらと当時の宗教観、社会規範を描く。主人の「お気に入り」の使用人として、奴隷より恵まれた生活ではあるが、奴隷のほうが自由や尊厳を持てるような表現。
最後、大商人の第2婦人への思いを大商人に告白する。追放を覚悟したが、逆に勇気があると褒められる。その直後に奴隷狩りのドイツ人の隊列を追って終わるのは、自分は「気高い」奴隷として生き残る決心、と読んだがどうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「まずは少年。名はユスフ。」
この1行目から物語への期待が高まる。
ストーリーは簡単に言えばユスフの成長物語だけど、著者が植民地支配や迫害の跡に目が向けられる前のアフリカを描きたかったと言うように、複雑な要素を含むアフリカを知れる歴史認識本だと感じた。
「楽園」はただアズィズおじさんの庭の意味だけではなく、作中に複数の人が自分の描く「楽園」について語る。
ラストのユスフの選択には驚かされたが、庭師のムゼー・ハムダニの自由、カラシンガの信仰などの話の他、父と母がもういないと知ったことも大きかったのだと思う。
ユスフは隷属状態に徐々に疑問を抱くようになっていたし、気付かぬうちにどん底に落ちている糞に群がる犬の姿を見た瞬間に何かがパチンと弾けたということだろう。
だけど、ユスフの選択もまた隷属状態という意味では変わりはなく、「楽園」なんて存在するように思えない見えない未来を自分で手で人生を切り開くことがいかに困難か。
ハリルが受けるであろう衝撃、アズィズおじさんの落胆、ユスフの絶望を予想して悲しく胸が痛くなる結末だった。
奥行きが深くサクサクは読めない文章だけど、読み終えた後の満足度も大きい。 -
Posted by ブクログ
久し振りにアフリカ系小説に挑戦。
絶対(と言ってもきっと大丈夫かと)日本人にとって馴染みがないアフリカの、第一次世界大戦前位の奴隷の人身売買があった世界だった。
100年ちょっと前の話なのにアフリカでは借金の形に子供が売られて働かされたり、10代の若いうちから女の子は結婚したり、密売のためにキャラバンを組んで内陸へ遠征したり。日本で言ったらいつの時代なのって。
加えて、イスラーム、クアラーン、アラビア語、スワヒリ語等、体感的に全く理解してない世界の話なので、体に沁みてはきてくれなかった。私がアフリカ人ならあるあるだとなったのか。小説としては読みやすいのよ、個人的には中盤の内陸地へのキャラバン遠征(エベレスト探検隊みたいなものか)は道中に次々起こる事が完全に探検で面白い。主人公の坊やが絶世の美男子設定のためご主人様の奥方様からも色目を使いまくられたりもする。
2021年にノーベル文学賞受賞後にアフリカ系の沢山の作家から喜ばれたそう。アフリカ系の人びとにとっては素晴らしいニュースだっただろう。
ちょい最近までこんなことがあったのかアフリカ。また白人社会の支配下がゆえの所もかなり大きいのだろう。
読み終わってから解説を読んでなるほどーと理解出来るところもあったので最後の1頁まで読むのがオススメ。
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ネタバレ2021年度ノーベル文学賞受賞作品。
読後は不穏感で終わり、
中々に解釈が多そうな作品という印象、、でしたが、
後書き読めば、舞台は二十世紀初頭のドイツ領東アフリカであり、ドイツ帝国から支配されているという歴史的背景や、イスラム教の聖典を題材としている所もあり、もしかしたら伝えたい事はそんなに難しいことでは無いのかな…と思いました。
作者自身、書くことに対して強い思いがあると書かれてあり、色んな経験されてます。
私たちの日常では中々知る機会が多くない、理解することがもしかしたら大事なのかなとも思いました。
歴史がとんでもなくポンコツ、、な私ですが、何とか情景描写や、登場人物の心情、場面はどんな事が起こってるのかを頼りに読めていけたので、(途中で挫折しかけたけど。。)、100%理解した!とは言いきれませんが、、
今回初めて、グルナさんの作品に触れることが出来て良かったなと思います。