イスタンブールで起こった日本人音楽家の自殺、遺書に書かれた告発文には… #ボスポラス死者たちの海峡
■あらすじ
トルコ最大の都市イスタンブール。自殺した日本人音楽家の遺書に、私を死を決意させた人物名と告発内容が記されていた。イスタンブール県警の刑事たちが捜査を進めると、トルコに住む日本人たちの複雑な人間関係が浮き彫りになり…
■きっと読みたくなるレビュー
アガサ・クリスティー賞大賞受賞作ですって! おめでとうございます。
新人先生とは思えないパワフルな書きっぷりにビックリ。ここまで綿密に文章を綴れるってのがスゴイよなー。もちろん取材もされてるでしょうが、アジアとヨーロッパの交差点であるイスタンブールの空気が伝わってくるんだよね。
物語としては自殺した日本人音楽家の遺書の内容をきっかけに、地元警察が捜査を開始する。並行して在イスタンブール日本人の元刑事、大学教授、日本企業に勤める会社員の妻やその友人たちなど、様々な人間関係の機微が描かれていく。
まず面白いのがイスタンブール県警の刑事たち、日本アニメが大好きだったりして可愛げがあるんです。刑事同士のやり取りも、冗談なのかマジなのかよくわからないセリフ回しが小気味いい。
しかし事件の中身はちょっとイヤな感じ、自殺の告発文がなかなか胃にくる内容なんです。観光ではなく、海外で生活することの大変さ、厳しさがよーく伝わってくる。
そして物語も後半になると、告発の背景に何があったのか真相が明らかになるのですが… 大人も子供もストレスなく生きるのはどうすりゃいいんすかね。報われない現実に嫌気がさしてくるのです。
読み終わってみると、たった1日の出来事なんですよね。それなのにこのプロットの多さ、情報や会話の分量に感服しました、ホント力作ですね。次回作も期待しています!
■ぜっさん推しポイント
海外で生活する人々の中でも、特に少年少女たちの生きづらさってのが切に伝わってきましたね。それでもイスタンブールの刑事たちが、優しく手助けしてくれる様子が胸に刻まれました。
異国の多種多様なトラブルがある中でも、子どもたちには明るい未来があるってことは伝え続けたいすね。