稲田万里のレビュー一覧

  • 全部を賭けない恋がはじまれば

    Posted by ブクログ

    彼女は、書く原動力が怒りだと言った。

    しかし、やり場のない怒りをぶつけたはずの文章は、ユーモアに富み、リズムを与えられ、読者の心を掴む。

    一言でいえば面白いのだけど、どの話も単純な感想に留めることは難しい。
    ユーモアの裏の怒りと少しの落胆は、薄れることなくそこにある。

    これは、彼女が彼女の怒りに対して行う供養なのかもしれない。
    我々は供養されて文学となった彼女の怒りを見送りながら、自分の中の怒りや落胆を供養しているのかもしれない。

    彼女の供養に心を重ねられる人々が、彼女に寄り添い、彼女に想いを寄せる。

    にもかかわらず、次なる供養を待っている。

    彼女も、そして我々も罪深い。

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    2022年11月10日
  • 全部を賭けない恋がはじまれば

    Posted by ブクログ

    第一章、第二章あたりは、このエロいことぱっかりかいてある小説を読み切れるかな?と心配だったんだけど、読み進めるとエロさだけじゃないギャグみたいな面白味とか、寂しさとか、別のエッセンスも加わってきて、いつの間にか読み終えてた。
    一編ずつが短くて読みやすいのもいい。「福袋」は結構好きだったなぁ。

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    2025年05月29日