R.D.レインのレビュー一覧

  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

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     統合失調症及びその前段階の統合失調気質について、実存的に、つまり無意識やリビドーなどの概念で一方的に論ずるのではなく、我々及び当事者が理解・追体験可能な現象として分析している点が優れている。ただし、異常な状態をそのまま受け入れるのではく、病理は病理としてはっきりと問題視する。
     レインは統合失調(精神分裂)の状態として特に、自己(自意識)と肉体の間の分裂を重視する。正常な人間は「(自己/肉体)⇄他者」であるが、統合失調気質では「自己⇄(肉体/世界)」であるという図式は、明快であり鮮烈である。
     他にも、「存在論的安定」と「存在論的不安定」の区別、存在論的不安定の形態である「呑み込み」「石化」

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    2024年03月08日
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

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    「引き裂かれた自己」には、一方で「世界」との間に、他方で「自分自身」との間に二重の亀裂がある。その結果、他者「とともに」ある自己として生きることができず、世界の中でくつろぐ自己を実感することもできない。世界との亀裂、即ち他者との断絶は、「本当の自己」を守ろうとする絶望的なあがきと言ってよい。彼/彼女にとって他者とは自己の存在を脅かす恐ろしい存在なのだ。だがそれは同時に自己が自己であることを承認してくれる存在でもある。他者から孤立した自己は自己を自己として確証することができない。即ち他者からも自己からも切り離された存在、それが統合失調症である。

    比喩的に言えば、他者によってただの物に貶められる

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    2023年12月30日
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

    Posted by ブクログ

    正気から狂気までの変遷を存在論的視点から紐解いた名著。28歳でこれを書いたのがすごい。

    一部二部はかなり哲学的な視点が盛り込まれてるから、医療知識がなくても全く問題ない。自己と世界が繋がらないという感覚がこれほど人間を狂気に追い込むのか。

    幼少期に受ける親からの愛がどれだけ大切かを感じる。

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    2023年01月27日
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

    Posted by ブクログ

    すごすぎる。
    いま、23の医学部五年だが、レインは28でこれを書いたのかと思うと絶望を通り越して感動する。
    実臨床で見る機会のあった統合失調症の方(著しい緊張症をきたしている方/理解不能な妄想を述べ続けていた方)を思い起こすこと、その時に疑問に感じたことが氷解していく感覚があった。

    狂気に至る過程を理解可能な言語で記す。その試みの現代的意味は失われていないし、寛容さが失われつつある今こそ必要な姿勢やもしれない。

    訳者のあとがきの要約が100点なので、内容を忘れた時にはここに返ってくればよい。

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    2022年02月26日
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

    Posted by ブクログ

    星5つでは足りないくらい素晴らしい。

    本を読み慣れていない人、学術的な文章に慣れていない人には難しいだろうけれど。。自信のない人はネットで買う前に実物をパラパラ捲ってみたほうがよい。逆にこういうのが好きな人、理解できる人には名著と感じられるはず。

    「存在論的に不安定な人」
    これは統合失調症だけでなく、うつ病患者などにも当てはまるところが多いと思う。
    その表現は的確で無駄がなく、また「存在論的に安定した人」との対比も非常にわかりやすい。読みながら何度も頷いてしまう。

    たとえば
    「存在論的に不安定な人は、自己を満足させることよりも、自己を保持することに精一杯なのだ。普通の生活環境が彼の安定性

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    2025年04月12日
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

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    2025年5月6日、グラビティの読書の星で紹介してる男性がいた。

    「『引き裂かれた自己』R・D・レイン
    統合失調症の僕にとっては、この病気はなかなか他人には理解できない超越状態だというレインの考えに惹かれるところがある。」

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    2025年05月06日
  • 引き裂かれた自己 ――狂気の現象学

    Posted by ブクログ

    狂気と正気というように単に二分割するのではなく、統合失調症と正気の間に「統合失調気質」を据え、より精神心理学の世界の言葉ではなく、より現実を表した言葉で説明しようとする本。

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    2023年02月12日