小西甚一のレビュー一覧

  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    通っている大学の文学部の教授たちが押し並べて絶賛していたのを覚えていて、なんだか教科書的な堅苦しさを感じてなかなか食指がのびなかったのだけれど、いざ読んでみると、この小西甚一という碩学は意外とロマンチストで、チャーミングな部分がありおもしろい。この本における基本的な文学史における分類方法である「雅」と「俗」についての説明の部分(15-18頁)など、人文書でこのような詩的な文章があるのかと驚くほどにポエジーに満ちている。他にも、思わずなるほど!と膝を打つような記述が満載で、すぐにページが鉛筆で引いた線で埋まってしまう。

    0
    2024年08月13日
  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    日本文学の歴史を雅と俗を中心とした区分に分類。古代=俗、中近世=雅、近代以降=別種の俗。古代における俗なる表現は純粋に日本的表現。文芸の流れがどのように変転しても、根底が変わることがない。普段は表面上にあがらないが、上層文芸が動脈硬化を起こすとき、そこからわき上がって新生の契機となる。という説。単なる概説ではなく、日本文学の本質を独自の視点で指摘した好著。

    0
    2019年01月27日
  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    これは名著。
    ドナルド・キーンの本著との出会いを喜ぶ解説の気持ちがよくわかる。今の日本人に日本文化をここまでドライに突き放せるだろうか。日本大好き、日本ってほんとに凄い、ってばっかり根拠もなく言ってるバカテレビが作った自覚のないレイシストから百億光年くらい遠いところにある。
    日本の雅は、本居宣長風に言えば、漢意によって形成されてる。国風文化すら、ものすごく中国的だ、ということ。
    つまり、「中国を真似てる時代」と、日本風に戻るのではなく、「自分たちなりの中国発想で自分たちなりに発想する時代」が続いていく。
    OSはあくまで中国で、日本はソフトウェアだけ変えてきたのだろう。
    そのOSは本居宣長にもや

    0
    2018年11月18日
  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    ドナルド・キーン氏が絶賛していたので手に取りました。60年以上前の著作とは思えないみずみずしさを保っていることに驚きました。柿本人麻呂の歌が天武天皇の壬申の乱での英雄的行動を目の当たりにしたことから生まれたとか、源氏物語の登場人物は「行為」としての罪よりキリスト教の原罪めいた意識の中にいるとか、西行の歌は白楽天を思わせる、などなど、刺激的な目を見開かされるような私見が盛りだくさん。推理小説もしくは現代社会論を読んでいるような文学史でした。
    そうそう、先日読んだ西山厚先生の「仏教発見!」でも印象に残った道元の「正法眼蔵」が空前絶後の表現力と称賛されていました。これはいつか読まなくちゃ。

    0
    2015年05月05日
  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    タイトル:学校では教えてくれない日本文学史
    作者:清水義範
    ※検索しても見つけきれなかったので本作に仮で記載


    日本文学の歴史をざっくりと知りたいなー…と思い見つけた本作。

    いやー、めちゃくちゃ分かりやすくて良い本だったな(笑)
    大枠で流れを掴みたいって目的にビタっとハマってる感じ。

    YouTubeとかで調べてみたりもしたけど、本業で文学に携わられている方の本の方が情報量があるし、分かりやすくて理解が早かったように思う。

    以下、本作の内容+自分の解釈&補足も入れて分かりやすいようにまとめる。

    あとは、コレを軸にして各作品を実際に読みながら理解を深めて行こうかね…(´∀`)

    <まとめ

    0
    2021年09月01日
  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    この人の文章はなぜかとにかく読みやすい.
    するすると読み進めることができる.

    日本の文学が,時代時代の背景の中で,何を志向してきたのかということがよく分かる.
    名作名著とその評価が知れるだけでも知識のない私にはありがたい.

    0
    2011年11月04日
  • 日本文学史

    Posted by ブクログ

    古代〜近世までを「雅」「俗」「俳諧(雅)」という軸でとらえる文学史。
    決まった型への完成を求めるものが「雅」、それに対して無限であるものが「俗」。
    もちろん異論のある捉え方ではあるが、筆者の確固たる教養・知識に基づいて、しかも全体を俯瞰したうえで述べられているので、納得して読むことができる。
    中国文学との比較文化・比較文学的な視点も興味深い。
    3冊目4冊目として良い本です。

    0
    2009年10月04日