関千枝子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ爆心からほど近い地点にいて被曝し、大火傷を負って亡くなった女子生徒たちの壮絶な記録。少しの差で生き残り、それに負い目を感じている人たちの苦しみの記録でもある。
当時庶民がどんなふうに日常生活を送っていたのかがよくわかる内容だった。地域差もあるだろうけれど、国民みんなが戦争に駆り出されていたと言っていいのだろう。使えるものはなんでも使うといった状況だったようだ。今ではやっぱり考えられないことが沢山起きていた。
なにより、筆者のクラスメイトひとりひとりの行方を追っているのが凄かった。「普段はこういう子だった」という思い出とともに語られる死の間際の姿は、あまりに苦しくて何も言葉にならない。最期の瞬間まで「お国のために」と信じていた子や、周りにお礼を言って死んでいった子の、その純粋で高潔な心を利用した権力者には激しい憎しみが浮かんでくる。筆者は終戦当時自分の国の不正を知り、騙されたことを知った、とあった。それが怒りに変わるのは自然なことだと思う。
この記録の中で、自分自身も大変なところを食べ物や飲み物を分けて親切にしてくれたり、被曝した子どもを家に帰そうとしてくれる大人たちがいたことに涙が出た。
水道が出ていた・電車が動いていたという話があり、その裏でおそらく使命感を持って仕事をしていた大人がいることにも救いを感じた。
戦争はもう二度と起こしてはいけない。遺族がその経験を話せる・聞けるようになるまで何十年とかかっていることを、みんなで受け止めねばならないと思う。
筆者の語るクラスメイトみんなの個性が、本という形で残されてよかった。 -
Posted by ブクログ
広島に落とされた原爆。あるクラスの少女達に訪れた壮絶な「死」。
彼女たちの記録を調べまとめた著者は、当日欠席したために生き残った、死んだ彼女たちのクラスメイトだ。だからこそ、死んだ女学生一人一人の記録は生き生きしている。ただの女の子達だったことを痛感させられる。
クラスのみんなが、行事式典で、ある先生が失敗したことを笑った。その時、担任の波多先生は全員に笑った理由を聞く。それぞれが「みんなが笑うから」と答える中、一人だけ「先生の失敗がおかしかったから」と答えた。
波多先生は、自分の言動に責任を持てと、その子以外の全員に説教をした。
担任波多先生のこうしたエピソードは胸が痛い。
若い女教諭。筋が通っており、けじめをつけ、理路整然と生徒を叱ることができる。原爆に焼かれながら、生徒を二人小脇に抱え、全員がその場から退避できるよう「解散」と声を上げた。二人の生徒を抱えて長い道のりを歩き、事切れた。同僚が、彼女を見つけて手を触れると、その腕が落ちた。腕が芯まで焼けていた。
それにしても、こうした本こそ翻訳されて海外各国で読まれるべきだと思う。読まれているのだろうか。どんな理由があれ、原爆は民間人を大量に残酷に虐殺する兵器だということは、変わらない。 -
Posted by ブクログ
何かのきっかけで本作を知りまして。
グイグイとひかれてあっという間に読み進めてしまった。
原爆投下時、中学生だった著者は、学級で駆り出されていた作業を体調不良で欠席した。そして助かった。
出席して、真面目に生きていたはずなのに助からなかった殆どの級友。
その一人一人があの時どうなったのか出来るだけ記憶と記録を頼りに追いかけてまとめ上げた執念の作品。
私はこれを読むまで、殆どがその場で即死、動けない、動けたとしても僅かといったイメージしか持っていなかったのだが、現実は異なり、重症の中、なんとか動いて移動したり、運ばれていたり(それが結構な距離を)していたことを知った。
その数だけ悲劇と物語があり、家族がおり、引き込まれるように集合写真と地図と本文を行き来しながら読み進めた。
靖国についての著者の思想がノイズになる部分があるかもしれないが、それでもここまで一人一人にスポットをあてて記録した功績は大きい。