度会好一のレビュー一覧
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難しい論理展開も単語もなく、するすると読めるが、
実は魔女裁判だけでなく、その周辺、悪魔、魔術師、キリスト教の教義の広範囲にわたって情報量が非常に多い。例えば、
魔術師はもともと、神の名と権威とラテン語等の学識をもって悪魔を支配し使役してしたのであり、
呪術や薬草を使ったり、いけにえを捧げるような低級な魔法使いとは一線を画していた。
魔女は超自然的な魔力が身体に宿っていると考えられていたが、
後に悪魔との契約という概念が生まれ、契約により魔女になれると考えられるようになった。
旧約聖書では、
悪魔は神に逆らった元「天使」なので知性的な本性を持っていると考えられ、
蛇は狡猾な動物だが悪魔で -
Posted by ブクログ
「幻想とあるがままの現実をつきあわせる精神。幻想であると承知しながら、それを生真面目に信じる精神。そしてまた、信じながらも、それが幻想であるという覚めた精神をもつこと。そのような複眼が、狂気と精気とを秘めた文化という幻想の海のなかで、溺れることなく生きていく道なのではないだろうか」 ー 287ページ
思えば『うみねこのなく頃に』の主題はまさにこれであった。幻想であるということを否定するのはこの現代においては難しいし、無茶であるし、無知であるとすら思われうる。
かといって、それで切り捨ててしまえるもの中には輝かしい宝石が存在しているわけで、それは幻想とのうまい付き合い方という問題系を導く -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
ヴィクトリア文化は性を抑圧する文化であり、性に対するとりすました淑女ぶり、お上品主義である―このような考え方は、今世紀のみならず、当時からすでにあった。
「中流階級の女たちは不感症に育てられる」「娼婦に落ちたら死ぬまで娼婦」「避妊を知らない」「未婚の母は召使に多い」など、本書は現在まで多くの人が受け入れている「神話」を26とりあげ、その虚構性を当時の日記や書簡、新聞の投書や漫画などの資料を通して検証する。
[ 目次 ]
序章 女王の素顔が見え隠れする幕あけ
神話1 ヴィクトリア文化は性を抑圧するピューリタニズ
神話2 女王は従僕ジョン・ブラウン夫人
神話3 避妊を知らない -
Posted by ブクログ
ロマンスの王道パターンの一つに「身分違いの恋」ってのがありますが、現代日本に生きていると、「身分違い」というのがどれくらいのハードルなのかいまいち実感できない。
なので、その辺のことが知りたいなーと思って読んだ本、第一弾。
性と結婚についての当時の人たちの感覚がどんなものであったのかを、色々な資料から検証しています。資料の種類が、日記や手紙、新聞、裁判の証言など、多岐にわたっているので、とても興味深いです。
昔の人は若いときにさっさと結婚していたんだと思っていましたが、イギリスではそうでもなかったなんて、意外でした。やっぱり根拠のない思い込みは危険ですね。
当時のジェントルマン