粕谷知世のレビュー一覧
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この小説は、久々に私に大きなインパクトを与えてくれました。
ここで描かれているストーリーは決して読んでいて心地の良いものではないのに、
ラストは実に感動的です。
著者の書き下ろしだそうですが、東日本大震災を経て感じたことを
一息に書いたのではないかと想像するくらい、
文章に‘熱’を覚えました。
気になる作家がまた一人増えました。
他の作品も読んでみようと思います。
今年もあっという間に終わりですが、
それにしても、あえて意図したわけでもないのに、
阪神大震災が出てくる作品を4本、しかもオウム事件も登場する作品を
立て続けに2本読むという、不思議な体験をしました。
来年はどんな作品と出会 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人に影響されやすい主人公・伊吹。ノストラダムスの大予言を信じて、破滅を回避するためにたくさん勉強して何か世界を救う役に立つような人間にならなくちゃ、と真剣に言っていた親友は高校に入って間もなく死んでしまい、その喪失から立ち直れないまま大学生になる。なりゆきで入ったサークルで、大予言を信じる根拠をことごとくへし折られ・・・。
主人公と親友との出会いから30歳頃までの長い期間を描いた小説。
ノストラダムスの大予言を信じていた人って実は結構いたんじゃないかな。この主人公も途中からは懐疑的だけど、サークルで完全否定されるあたりの描写は何だか可哀想なくらいだった。でもこれがあったからこそその後は軌道修正 -
Posted by ブクログ
ノストラダムスの予言通り1999年に世界が終わると信じてしまった1969年生まれの少女が「その時」を超えるまでの物語。
小学生時代は親友と共に世界を破滅から救おうと考え、高校時代は親友との距離に悩み、大学では「世界救済委員会」のサークル内で人間関係に悩み、社会に出てからも自分と世界との関係の狭間で揺れ動く主人公。
冒頭を読み始めて「苦手かも」と思ったものの、読みすすめたらぐいぐい引き込まれた。
彼女の考えが私にとって「痛い」のは私が「口先原理主義者」で彼女の考えがよく判ると共に「そのように」生きてこなかったから。
終章で主人公は一応の決着を見るが、この先も彼女は周りの人々に影響を受けながら傷 -
Posted by ブクログ
この著者の最新作「終わり続ける世界の中で」が個人的にヒットだったので、
平成24年最初の小説としてこの作品を選びました。
心に余韻をもたらしたのは、文章もこなれた最新作に軍配があがりますが、
こちらはこちらで壮大なファンタジーで、長い作品ですが、一気に読みました。
アニメ化されたら面白いかも…。
男嫌いで、男並み、いや男以上に逞しい女主人公ですが、
大恋愛もしてみたいかな、と思うなどかわいらしい一面があります。
恋が始まる予感の何となくくすぐったい感じを思い出させてくれました。
日常生活を離れて豊潤な物語の世界に没頭したい方にはオススメの小説です。