直野祥子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
トラウマ少女漫画、ってことなので、よくあるホラー漫画かと思いきやちょっと違うなあ。たしかにあからさまなホラー漫画もありますが、もっとささやかで身近でありふれている分トラウマになってしまいそうな恐怖が描かれています。めっちゃ嫌だこれ。でも面白い!
お気に入りは「へび神さま」。タイトルからしてオーソドックスなホラーだと思ったのですが、そっちか! という印象。蛇を祀る風習といい人の心のおぞましさといい、どれもこれもが嫌だし怖い。そんな中で自ら「罰」を受けようとする少女たちの姿が切なすぎますよこれ。やりきれない。
「ひも」「かくれんぼ」あたりもじわじわ来て嫌な話。「宿題」と「はじめての家族旅行」は大人 -
Posted by ブクログ
直野祥子が1970年代初頭に少女誌に掲載したホラー漫画を集めた文庫オリジナルの短編集。
収録作の中では同じちくま文庫の「トラウマ文学館」(頭木弘樹編)に収録されている「はじめての家族旅行」のみ既読(これは以前、ネットでバズったこともあり直野祥子の恐怖漫画としては一番知られているものだろう)で、それ以外は今回が初めて読むものばかり。
収録作は、ストレートに呪いの恐怖を描いた「おつたさま」を除けば、「はじめての家族旅行」がそうであるように、人間の思い込みや迂闊さ、臆病さ、猜疑心などの心理が引き越す悲劇を描いた「怖い」というより心に檻が溜まるような厭な気分にさせる作品ばかり。ストレートな人間の悪 -
Posted by ブクログ
講談社の「なかよし」や「少女フレンド」に一九七一年から一九七三年にかけて掲載された短編漫画を復刻した文庫本。著者が阪神淡路大震災で被災され、原稿が消失してしまったため、掲載誌から起こしたと奥付にある。
トラウマという言葉を安易に使う風潮は、医療従事者として苦々しく思っている。そして、一九七〇年代前半には、わたしはまだ生まれていなかった。でも、当時少女だった人々にとっては、著者の作品は、もしかしたらトラウマになっているのかな。それならそれで、言葉の使い方として正しいんだろうな。著者が「これは私の黒歴史です」(p323)と自作解説している『シャイアンの大ワシ』(pp227-257)がわたしは一 -
Posted by ブクログ
直野祥子『毛糸のズボン 直野祥子トラウマ少女漫画全集』ちくま文庫。
なるほど、直野祥子は『月刊漫画ガロ』出身の漫画家であったか。確かに画風やちょっとブッ飛んだ感覚は『ガロ』っぽい。学生時代、ジャズ喫茶で『月刊漫画ガロ』を読みながら、珈琲を啜っていたのを思い出す。
『月刊漫画ガロ』でデビューした直野祥子は、その後、『少女フレンド』や『なかよし』で連載をしていたようだ。
1970年代に少女漫画雑誌に掲載されたトラウマになるような少女漫画の数々。当時はコンプライアンス的に問題無かったかも知れないが、現在ならアウトという表現も多く、時代の流れを感じる。
本作では著者による全収録作への自作解説付