伊藤明彦のレビュー一覧
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ネタバレ推理小説的な面のあるノンフィクション。
ある被爆者のあまりに凄絶な体験。それを聞いた著者は感動するが話のいくつかの箇所に疑問をおぼえる。さらに偶然にも同じ人物がまったく異なる体験を別の場所で語っているのを知る。
彼は嘘を語っているのか。
しかし嘘を語っているような演技のそぶりは話している最中まるでなかった。
ではなぜ異なる二種類の体験を彼は語るのか。
その謎解きが、そもそも体験を語るとは何か。それが戦争という人災による被害、絶対悪に対する批判の場合において、という問題に展開していく。
人間の不思議さ、その営みの奥深さを改めて知る。 -
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本書は一九八○年に、青木書店から刊行されたきり、永らく絶版状態となっていたが、二○一二年にようやく岩波現代文庫に収録された。
著者の伊藤明彦は、原爆被害者の肉声を録音するという作業を通して、吉野啓二(仮名)さんと出会う。吉野さんの語る被爆者体験は、目の前に情景が浮かんでくるほど生き生きとしていた。特に「姉さん」の話に深く感動し、できるだけ多くの人に吉野さんの話を聴いてもらいたいと思う一方、果たして吉野さんの話は本当なのだろうかという疑念も抱く。やがて、吉野さんが別の人に、違う体験を語っていたことが判明する。果たしてどちらの話が本当なのか、あるいはどちらも虚偽の作り話なのか。
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Posted by ブクログ
ネタバレ作者の伊藤昭彦氏は両親が長崎で被爆し、地震は被曝二世。長崎放送に勤めていた伊藤氏は「被爆を語る」というラジオ番組を企画し、被爆者の肉声を保存し、未来に伝えるという活動を開始する。その後事情があって退社したのちはオープンリールの録音機を担ぎ、日本各地を回って、被爆者の被爆体験を録音するという活動を続けていた。
その活動の初期、1979年、東京であった会合で一人の男性と出会う。40歳くらいに見えるが小学生のように小柄で頭が大きく色が黒く、痩せて目が窪んでいる。身なりも裕福とはいえない感じ。そして、ひどい吃音だったという。
彼自身も長崎で被爆したという。空襲警報を聞いて一緒に防空壕に避難した母親は爆