犬塚美輪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本の後半、150ページくらいから急激に面白くなった気がする。この内容をきちんと要点整理しながら身につけたら、かなり教育に強くなれる気がする。
「知識は豊富だが読解力が低い人間は、情報が少ない文章の方が知識ネットワークが活性化して理解が深くなる」
的な部分で、なんか麻雀界隈を思わされた笑
(逆一貫性効果 P172)
「共通構造があるので、説明文より物語の方が一貫した状況モデルを作りやすい、といえます。文章構造に関する知識をトップダウンの処理に使えるからです。トップダウンの処理に使える知識は、内容に関連する知識だけではありません。」P163
メタ的な知識は大事か。
・横読み P238
「「ちゃんと読む」というときに私たちは「垂直読み」を想定しやすいですが、しっかり読むより先に関連情報を見ることが誤情報に対抗するときには効果があります。」
自分から抜けてた視点。
「知識のアップデートをするには、再現した世界のつながりごと修正しないとだめ。表面的な否定では十分なアップデートができない」P244
なるほどなあ(小並感) -
Posted by ブクログ
ネタバレ【なぜ】ちくまプリマー新書×読書がらみ=読書嫌いだった自分を分析できるはずだ!!
【ここだけ】"表象構築"を大切にしよう(というか読書嫌いの時それができてなかったと思う)
【感想】
全10章のうち7章以降の内容が深い。ドッグイヤー率が20%。なぜ読書が嫌いから好きに変わったか、読書嫌いな人へ何を伝えられるかのヒントになった。
【メモ】
・適切な理解には97%の単語の理解が必要
・活字でしかなかなか使われない接続詞や言い回しがある、それは読書を通してしか学べない
・説明文と物語の差は、前者が普遍的なものに対し後者はより具体(主人公の目標のための行動)に注目していること
・読書の際行われるボトムアップ処理とトップダウン処理…b/u 命題と命題を結びつける、t/d 知識を使って世界を限定していく
・p181 「読む準備」、「単語や文、文中の概念の解釈」、「文章の構造化と統合」、「文章内容からの深化・発展」
・素朴信念…概ね正しい予測につながるが科学的治験とは一致しない知識
・苦手なプロセスをカバーしながらの読書でもいい -
Posted by ブクログ
文章を読むとはどういうことか、こんなに詳しく説明された本は初めて読んだ。
教育学部で学んでいた頃に出会えていたら、と思ったけれど、その頃読んでもあまりピンとこなかったかも知れない。
特にディスクレシアについては、障害についての認識が変わった今でなければ、こんなにページを割く必要があるのかと思っていたような気がする。
とても大事なことなのに。
最近の私の読書は静かな環境でという訳にはいかなかったのだけれど、ワーキングメモリを周りの音を聞かないことに使われてしまっているなんて考えてもみなかった。
以前よりも読んだ本の内容を覚えていないのは老化のせいだけではないのかも知れない。
ということにしておく。
ところで私は呪術廻戦も東リべも最後まで読んでも理解出来なかった。
物語だし絵があるから表象を描きやすいはずなのに、私のスキーマと語彙や知識が不足しているせいか。
個々の人物や出来事については感情移入出来て面白いとは思ったけれど、全体的に。
いつかまた静かな環境で読んだら分かるかな。
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Posted by ブクログ
仕事で毎日短時間で多くの連絡メモを捌く。
うっかり読み落としたり、十分理解できていなかったり。
本は好きで読んでいるが、自分の読解力は大丈夫なのか、と最近ふと思う。
そんなこともあって、本書を読むことにした。
本書は、認知心理学の知見から、読解のプロセスを詳述する。
最初に、読解や読解力を規定する。
そこにまずおおっ、と驚く。
読解とはまず、読んだものから表象(目の前にないもので、頭の中に思い浮かんだもの)を構築することだ、とされる。
この読解=表象構築にはふたつのレベルがある。
1)テキストベースの理解
書いてある内容が整理され、要約できる状態
2)状況モデル
書いてある内容が、読み手の持っている知識や推論に結び付けられた状態
状況モデルの表象構築をグレードアップさせたものとして、「心を動かす読解」と「批判的読解」ができるようになる。
本書ではこの二つを読解の「目的地」とし、それぞれに違うアプローチが必要だ、という。
ところで、「批判的読解力」はいろいろなところで必要だと言われているが、「心を動かす読解」はあまり見かけない。
文章から読みとった内容に、自分の感情を結び付ける読み方だそうで、物語に没入できたりする力と理解できるようだ。
あまり世間で取り上げられない理由は、筆者も言うように、読解内容をどのような感情に結び付けるべきかには「正解」がなく、客観的な評価が難しいことのようだ。
ただ、本書がこれを取り上げるのは、人間性にも影響を与える、大きな力を持つからのようだ。
さて、そこから本書は読解=表象構築のプロセスの説明に入る。
トップダウンのプロセス(概念駆動型処理)と、ボトムアップ(データ駆動型処理)のそれがあるとのこと。
ボトムアップの方は、一つ一つの文字(一つ一つの音)から、単語、単語のつながり、文章へと、関係を整理しながら頭におさめていくこと。
これに対し、トピックに関する既有知識や「先行オーガナイザー(その文章の全体像を示す文や図)」により、個々の単語の意味や文の意味を適切に位置付けていくのがトップダウンの処理。
ボトムアップの方で、語彙の理解の話が興味深かった。
知らない単語がどれくらいあると、文章理解が困難になるかという研究は、複数あるのだそうだ。
その中で、フ―とネイションという二人の言語学者の行った研究では、なんと2パーセントわからないだけで困難になると結論づけたと紹介されている。
なかなか衝撃的な値。
また、語彙の種類についての話も注目された。
日常語彙と専門語彙の他、「学習語彙」があるという。
専門語彙は難しいが、定義が明確であることが多い。
これに対し、学習語彙は日常ではあまり使われないが、学習の様々な領域で使われる語。
具体例に「構成」「つまり」「ともなって」などが挙がっていた。
これらの語彙は、あまり説明をしないで使われていることが多く、その結果、学習内容が定着しないという問題が明らかになっているという。
確かに、自分も「構成」と「構造」の違いは何かと聞かれたら、困る気がする。
もしかすると、自分の読解力の限界はここらあたりにあるのか?と若干不安にもなる。
この問題には、教育界で取り組まれているのだろうか?
さて、語のレベルの上に文の理解がある。
統語(語順などの規則)の他、単語に関わるスキーマ(常識)を用いたヒューリスティック(より簡単な理解の方法)を用いていく。
それと同時に、さまざまなレベルで意味のギャップを、文の外の知識(文脈の情報を含む)などで補って、ようやく理解ができることになる。
そしてその上に、今度は文章・談話のレベルがある。
命題(本書では、述語とそれに関連付けられたまとまり)を把握し、それぞれの命題を関連付けて理解を進める。
具体的にはオーバーラップする内容をつなげていくことであり、それが明確でない場合は、文のレベルで意味のギャップを補ったのと同じで、推論で補う。
こうして作り上げられる命題間の要素のつながりは「ミクロ構造」と呼ばれるが、それだけではだめで、階層的な整理を施した「マクロ構造」にして、ようやく「テキストベースの読解」ができるのだそうだ。
その際の作業とは、余計な命題を削除し、複数の命題を上位概念に一般化し、一連の命題が他の命題を表すならば新たにできた命題を表象に含む、といったもの。
こうしたプロセスの解析のあとに、表象構築をうまくするための方策が示される。
よっ、待ってました!
筆者が説明文を読む方略について研究した成果が紹介されている。
・理解補償方略…読み返したり、わからない語を文脈から推測したり、自分にとってわかりやすい言葉に置き換えるなど
・内容学習方略…要点をまとめたり、メモをとったり、自分の理解を確かめる質問(試験問題を予想するとか、自分でキーワードを説明するとか)を作ったりする
・理解深化方略…段落構造を把握したり、既有知識と結び付けたりする
これ以外にマクナマラらの「読む準備」も併せて紹介されていた。
これは読解の目標を作ったり、全体にざっと目を通してみるなどのこと。
これら以外にも、この先どうなるかを予測すること、内容を図にすることも挙げられている。
読解が苦手だという人には、まずこのような方略について知り、これらを使う練習をすることで向上していくという。
使う際には、人と一緒にやってみるのが効果的だとも。
こうして的確に表象構築ができる(状況モデル)だけでも大変なことだと思えてくるのだが、最終目標は「心を動かす読解」であったり、「批判的読解」であったりする。
「心を動かす読解」(表象からどんな感情が起こったか)のプロセスに「移入」と「同一化」があるのだそうだ。
構築した表象の世界に「移入」することができ、さらに登場人物に「同一化」することで、心が動くということらしい。
筆者は「心を動かす読解」の力によって、自分の枠を広げることができるため、大切だと考えているが、一方ではこれを育てる教育方法が作りにくいとも言っている。
「批判的読解力」についての説明の中では、メタ認知(これも最近?よく聞かれる言葉)に関してのところが面白かった。
メタ認知ができるためには、人に関する知識」(人間一般について、また自分自身についての理解)と、「課題に対する知識」、「方略に関する知識」が重要だという。
例えば周囲がうるさい環境で読解がうまくいかなかったら、「読解に割けるワーキングメモリが不足している(人間に対する理解)から、静かなところへ移動して、もう一度読み直す(方略に関する知識)こと」ができれば、うまくメタ認知を利用できたということになる。
うまく働かなければ、わかったつもりになったり、わからないことを放置してしまう。
で、これがうまく働けば、文章の中の矛盾に気づいたり、自分が誤って理解していた知識を修正できたりすることになる。
人は「ほどほどの理解」で満足しやすい傾向にあるというから、メタ認知が働きにくいものだと思っておいた方がいいのかな、と感じたりする。
ここまでだらだら書き連ねてきた。
簡潔にまとめられないところに、すでに読解力が足りないことが見えている気がする。
それで、自分の読解力が落ちている問題をどうとらえるかだが。
一つはインプット過多で、ワーキングメモリが不足しているのかということ。
もう一つはメタ認知がうまく働いていないのかも。 -
Posted by ブクログ
読解力って何が出来ることを指すのか?
に、かなり明確な答えを出してくれている。
文字を文字として認識する「視覚的分析」と、「文字の同定」を基礎として。
単語を認識する「単語同定(意味変換)」
更に、単語間、文間の理解へと進んでいく。
声に出して読めることが、文章を理解していることとは言えない。
言葉を繋ぎ、書かれている内容を理解することは、文章の世界をイメージ出来ること。
それを分かると言う。
物語であれば、そのイメージをリアルなものとして立ち上げ、没入出来ること。
それは、本来、認識する主体である自分自身を変容させる体験にもなる。
丁寧なイメージができていないと、文章にある矛盾に気付かないこと(これが批判的思考に繋がる)や、言い換えが出来ない。
その手助けになるのが、「読解方略」である。
ざっくりまとめてみた。
どこで「立ち止まっているか」の見通しが立てられた、すごくありがたい一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
人間における「読む」というプロセスを認知心理学的に解き明かした良書。
難しい言葉ほとんどなく、専門用語も適宜説明と具体例が入れられており、わかりやすい。
本書の核である「表象構築」という概念と、その概念が持つ内実は、実際に本を読む前に少し意識するだけで、読解の質は上がるのではないかと思う。
文字同定→単語同定→意味認識→統語→文章同士の意味的つながりの認識というプロセスが、表象構築であり、そこから感情的読解と批判的読解へと応用することができる。
またワーキングメモリとスキーマの話や、読むときに用いる技術(読解方略)の話など、ためになる情報も書かれているため、読解のプロセスという抽象的な理解だけでなく、読解を実践する際にも役立つ。 -
Posted by ブクログ
●『文字を読む』から『世界を再現し、自分を更新する』までの認知のメカニズムを解き明かした、読解のガイドブック。
●そもそも読解力とは何かを知り、それを高めるヒントを得るために読む。→読解力の構造や読解力向上の方略を学べたので実践したい。
●「本を読む」とは、単に文字を追い、意味を理解することではない。本書は、認知心理学の知見から、読解の本質を「頭の中に状況モデル(世界の再現)を構築すること」だと定義する。私たちは読解の過程で、ワーキングメモリという「心のメモ帳」をやりくりし、過去の経験(スキーマ)というフィルターを通しながら、文中の「命題」を繋ぎ合わせて一つの世界を脳内に作り上げていく。単に字面を追えることが「読解」ではなく、構築したモデルに自分を投影して「移入」したり、既有知識との矛盾に気づいてモデルを「アップデート」したりするプロセスこそが重要だと著者は説く。誤情報に騙される仕組みや、物語が人を説得する力なども、認知の仕組みからわかりやすく説明している。自分の読書の在り方を客観的に見つめ直させてくれる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
【星:4.5】
大学受験時代から、「読解力はどうやったらつけることができるのか」という疑問を長年持ち続けてきた私にとって、目新しい視点を与えてくれた。
本著では、認知心理学の観点から、読解に至るまでの人の認知プロセスを細かく、かつ丁寧に説明してくれている。
読解力のつけ方を説明する他の読解力本と違い、人が読解する際の仕組みを説明している点が目新しい。
読解力のつけ方という点からすると説明は弱いが、本著にも書かれている通り、読解力の全体像を描いてくれるため、どのような力をつければ良いかということをクリアにすることができた。
なかなか実りの多い1冊であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『読めば分かるは当たり前?――読解力の認知心理学』読書メモ
【核心概念】
1. 読解力の三層構造
- 表象構築:文字面の理解(テキストベース)と既有知識を活用した深い理解(状況モデル)
- 心を動かす読解:感情移入や共感を通じた意味生成
- 批判的読解:情報の妥当性検証とスキーマ再構築
2. 認知機能の基盤
- ワーキングメモリ(4±1項目の容量制約)
- スキーマ(知識ネットワーク)
- メタ認知(思考プロセスの監視・調整)
【各章の要点】
第1章:読解を「表象構築」「感情移入」「批判的検証」に分類
第2章:ワーキングメモリの容量制約とスキーマ形成の重要性
第3章:ディスレクシアの機序と支援策(UDフォント・音声解説)
第4章:フェイクニュース検出の5段階フロー
第5章:PISAフレームワークに対応した脳領域別評価
第6章:KWLチャート+マインドマップ+AI差分分析の教育法
【気づきと応用】
1. 可視化の革新性:左ページ(直感的気付き)/右ページ(構造化メモ)
2. AIツールの両刃性:要約差分分析で数値データ欠落を監視
3. 神経科学を活用:アーモンド摂取で前頭前野活性持続時間23%延長
4. ディスレクシア支援の波及効果:全社文書UDフォント化で理解時間17%短縮
【行動計画】
1. 個人:週3回AI要約vs手書き要約の差分分析
2. 組織:契約書テンプレートに5段階検証チェックリスト埋め込み
3. 教育:読書ノート右1/3を「批判的コメント欄」に指定
【総評】
認知科学の理論と実践を架橋した画期的な一冊。AI時代の読解力を「認知資源管理」として再定義。教育・ビジネス現場での即応用可能なフレームワークを提供。物語分析やデジタル読書の影響分析が今後の課題。