待川匙のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ文章の上手さが異常。
導入部分は平易に思えるが、徐々に難解になり、後半は何がなんだかわからなくなる。
にもかかわらず、文章の上手さから言葉は確実に読み手の脳に注ぎ込まれ、脳が強制駆動させられる感じ。
テーマはなにか? そもそもテーマはあるのか?
一度、読んだだけではわかりませんでした。
読み手により景色が変わる騙し絵的な作品なのかもしれない。
ですが、以下のあたりに作者の思いがあるように感じます。
“子供という殻が破られて、すべてがすっかり変質し、ほとんどべつのものになることで大人になるのではなくて、子供時代というのは、琥珀のなかに閉じこめられた昆虫のように、ずっとそのままのかたちでそ -
Posted by ブクログ
ネタバレ頭の中に広がる景色は白っぽく柔らかい光に終始包まれているのに、不穏さが流れ続ける小説。
前触れなく「おれ」として語りかけてくるキイちゃんがこの作品のびっくりポイントだけど、個人的にいちばん怖かったのはバイト先の店主の無差別殺人。直前に退職金(?)渡してくるのも怖い…ネットニュースで知るのも怖い…そりゃ寝逃げするしかない。
キイちゃんと主人公の主張は段々と食い違っていくが、キイちゃん側を信じれば、主人公は幼い頃、暴力的で、それを抑えられなかった子供であったことが分かる。(いじめを受けたり家庭も良好ではなさそうだから、色んな理由はあると思う)
主人公自身のエピソードを読んでも、たぶんそっちが本 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて読んだ文藝賞受賞作品。
静謐な空気感と精神の異常性がすごくアンバランスなんだけどそれが流れるような文章で入ってくるから、読んでてフラフラしてくる。
まるでめちゃくちゃゆっくり進むジェットコースターに乗ってるような感じというか、今まで体験したことのない不安感を覚えた。
普段よく読むミステリは、エンタメとして面白ければそれで良しだったけど、純文学系は読み終えても「つまりどういうこと??」ってなって感想の出力ができないのであまり読んでこなかったけどこの本は最初から最後まで面白くて読めた。
でもなぜこの本を面白いと感じるのかさっぱりわからないから、感想を言語化して整理せざるを得ない、そんな小説だ