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たしかなことはなにもない――。十年ぶりに故郷の墓を訪れると、死んだ幼馴染の声が語りかけてきて……。不確かな暴力の記憶と土地の呪い。静かな戦慄と衝撃が走る、第61回文藝賞受賞作。
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Posted by ブクログ
何が本当で何が嘘なのかわからなくなってくるし、さらっと書いているけどなんか怖いこと書いているよねってなるし、読んでいて頭がグワングワンするのが好ましい。
語り合う者も語られている事も最後まで曖昧で噛み合うことがない。虚実どちらも存在しない気持ち悪いこの空間は、小説だからこそ立ち上がり、魅力を放つものだと思う。おどろおどろしく書かれていないのに下手なホラーよりホラーで揺すぶられた。すごく良かった。
静かに淡々と紡がれる言葉に心を穏やかにさせます。 十年ぶりに故郷に帰った「わたし」は、ある人の 墓参りにいくところだった。 小学生の頃に亡くなった幼馴染の「キイちゃん」との思い出に導かれ過去の自分や失踪した父、汚言機械の祖母、違う街に引越した母など、紡がれる 思い出を淡々といるはずのない、「キイちゃ...続きを読むん」と 会話していく。 新人でこんな作品を描くとは、びっくりしました。情景を思い浮かべながら読めてとても良かったです。
わたしの曖昧な記憶とキイちゃんの記憶との相違。何れにしても淡々とした描写なのに闇深く、時々息をするのを忘れた。
3.5/5.0 最後までこの小説の芯の部分を掴めなかった、というのが正直なところ。 死者が語りかけてくるという設定に、最後まで空想と現実の間を漂うような浮遊感。それ以上のものが今の自分には理解出来なかった。 もっと「人間」を浮かび上がらせて欲しかった。
村田沙耶香さんが紹介していて、好みそうと思ったのと「光のそこで白くねむる」というタイトルに惹かれて。「そこ」と「ねむる」が平仮名なのがすごく不思議なバランスで特別な言葉のように感じる。 主人公の性別も語られる記憶も曖昧でどこか現実味がない。独特な文章のリズムが好きでもっと進みたくなるけど、引き返せな...続きを読むくなるような気がする。表面上は穏やかで静かな佇まいでありながら暴力的な衝動を抱えているような、なんだか見てはいけないものをうっかり覗いてしまった感覚。
不協和音みたいな小説。 全体的に薄暗いイメージで、なんとなく鬱屈した空気が漂いながらも言葉は美しい。「こういう表現をする人がいるのかぁ」ってちょっと感心してしまった。 主人公の主観とキィちゃんの言葉がどんどん食い違って、現実がどちらかわからなくなるけれども、たぶんキィちゃんの言うことが本当なんだろう...続きを読むな、という気がする。祖母の「加害者加害者」のセリフがじんわり効いてくるのが怖かった。
ずっと帰ってなかった育った地方、幼馴染のキイちゃんの墓参りに行くその道程で立ち昇ってくる記憶と妄想の世界。何が本当でどこが嘘で、精神の崩壊もじわじわと感じさせられて、主人公の行く先が恐い。
何が本当にあったことで、何が幻想なのか。破壊者や加害者と祖母に言われ続けて育った子ども、何を考えているかわからない父親との岬の崖の場面。淡々と書かれているけれど、意識の底の方に沈んでいる穏やかでない出来事の断片に不気味さを感じた。
書き出しは、執拗なまでの自分が見えてる世界の描写。 中盤から不穏になり、平衡感覚を失います。 ちょっと、今村夏子の『こちらあみ子』を彷彿とさせる。いや、おまえ…、てなる、なんとも言えない感覚になります。
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光のそこで白くねむる
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待川匙
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