作品紹介・あらすじ
エッセイで指南し、
小説で実践してみせる。
当代一の書き手によるゴシック入門。
エドガー・アラン・ポー、ウィリアム・フォークナーから始まり、内田百閒、伊藤潤二、柴崎友香、『鬼滅の刃』までのゴシック、ホラーの作品世界を、現代アメリカの最重要ゴシック作家のひとりブライアン・エヴンソンが語り尽くす。書き下ろしを含むゴシック小説4編(うち3編は本邦初公開)と、柴田元幸との対談も収録。完全英日バイリンガル本。
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ブライアン・エヴンソンは大好きな作家の一人。今のところ翻訳されている彼の作品は「遁走状態」と「ウインドアイ」の二冊だけだけれど、僕は二冊ともに五つ星にしている。
そんな彼の短編4本とエッセイ2本、そして柴田元幸との対談が収録されているのが本書。「英日バイリンガル」となっているのは左ページにブライアンによる英語、右ページに柴田元幸による日本語訳、両ページの下段に日本語による訳注が掲載されているため。英語の勉強にもなりますよ! ということになる。そして本の表紙には横尾忠則の「Y字路」という作品が使用されている。
エッセイや対談も面白く、ブライアンの人柄なども窺い知ることができるのだけれど、やはり4本の短編が僕にとってはメイン。そのうちの1編「ザ・パニッシュ」は柴田元幸編集による文芸雑誌「Monkey Vol.2」に掲載済であるが、残りの3本は本書の為に書き下ろされたもの。「紫の野菜」は軽めでちょっとコミカルな印象の作品だったけれど、「痕跡を残さぬ顔」と「ぐっすりお休み」は僕にとって絶品。特に「ぐっすりお休み」は最後「おお、そうきたか」と思わせてくれた。ちなみに「ザ・パニッシュ」も嫌な感じがずっと残るような作品だった。
調べてみるとブライアンはかなりの作品を出版している(短編集だけでなく長編やノンフィクション、他者との共著もある)。ざっと数えただけでも30冊を超えているのに、翻訳されたのはたった2冊というのはちょっと寂しい。僕にもっと英文読解の才能があれば洋書で読めるのにという気持ちもあるが、才能のない物ねだりをしても仕方ない(悲)。柴田さんに頑張ってもらって、もっと翻訳して欲しいなと願っている。