加地大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「なぜ鏡は左右だけ反転させるのか」、「なぜ私たちは過去へ行けないのか」という身近な2つの疑問について、哲学的に考察。半ば独白調、似非私小説風の叙述形式により、著者の哲学する頭の中を追体験できるようなスタイルとなっている。
1つ目の「なぜ鏡は左右だけ反転させるのか」については、あまりテーマに興味が持てず、流し読みみたいな感じになってしまったが、これまでの説や著者の主張についてはなんとなく理解することができた。
2つ目の「なぜ私たちは過去へ行けないのか」については、その題材となった「ターミネーター2」が好きな映画だったこともあり、興味深く読み進めることができ、存在論的様相に着目した考察も自分の考えに近いところがあったのだが、「これが結論??」のような、ちょっと腑に落ちないというか、肩透かしを食らったようなところもあった。
他の哲学書でも思ったことだが、全体的に、こういう哲学的議論というのには、ちょっと言葉遊び的な要素を強く感じ、どこか隔靴搔痒な読後感という印象である。
ただ、哲学する人間の頭の中ではどのようなことが展開しているのかをリアルに伝えるという本書の試みは、かなり成功しているように感じた。こういう哲学の入門書はありだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書のタイトルになっている命題について考えた時、人間の両目が左右に並んで付いているからかな? と私も著者と同じことをまず直感的に思ったが、もちろんそんな単純な話で終わるわけはなく、しっかりと納得がいくように理屈で説明してくれる。
ただ個人的には、紹介されているネッド・ブロックの主張から演繹できる理屈によって充分腑に落ち、そのあとに続くデカルト座標を用いた解説等よりも、大多数の人にとってはイメージすることが容易なのではないかな…と感じた。
回転軸云々についても、後半に展開される説明は実に難解。
"パリティ対称性の破れ"については初めて知り、勉強になった。
タイムトラヴェルに関して論じる第二章では、特にまとめにかかるあたりから、種々の理論を広範に紹介するという形を取りつつも、詰まるところ著者が明確に主張したいところへと多少の強引さを以て引っ張っていく、力業のような印象を持った。
自然科学の観点に立って論ずるのではなく、あくまで哲学者である著者が語る論理であるから当然と言えるのかもしれないが、いわゆる思考実験に終始しており、恣意的な解釈で煙に巻かれたような? とはあまりにネガティヴな評価に過ぎるか…?
いずれにせよ、哲学と数学や物理学は不可分だということを、通読して改めて感じた次第。
論理学にまつわる議論でさえ、物理法則と密接に絡み合っているではないか。
また、旧版は編集者の意向により第一章と第二章が逆だったそうだが、新版を出すにあたり著者本来の企図に従う順に戻したとのこと、こちらが明らかに正解だろう。
第一章に敬意を表し、星4つ。
旧版あとがきを読み、形而上学というものも一度きちんと学んでみたい、と思った。
「私たちの『背骨』ことが空間認識における回転軸となっていると考えられるでしょう。~中略~
私たちは決して鏡像を『デカルト座標的に』あるいは『物理学的に』『宇宙論的に』見ていません。『回転座標的に』あるいは『生物学的に』『環境論的に』見ているのです。」
「いぜれにせよ、やはり結局は、左右にまつわる問題に回答するためには、『空間とはそもそも何か』という空間の『本質』についての考察が求められることとなるでしょう。」