武塙麻衣子のレビュー一覧
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地元富山を出て、東京の国立大学に進学した雄士。
大学から一駅の街で一人暮らしを始めた雄士は、自炊のおかずを求めて近所の一角通り商店街に行き着く。
バイト先となった喫茶店を始め、商店街の店舗を1つずつ開拓するうちに、商店街の人々との交流も広がっていく。
180ページほどの中に14編も入った短編集で、各編はこじんまりしてテンポよく読める。
何事が起きるわけでもないが、新参者の雄士にとってはそれぞれの人との出会いはそれだけで発見だし、小さな事件でもある。
真面目で人のよい雄士が商店街の人々から暖かく受け入れられている様子が心地よい。
地元の母親や祖母の富山弁の柔らかく丁寧な響きも良い。
同居を始める妹の胡桃ちゃんが商店街の人たちから可愛がられる様子が目に浮かぶ。 -
Posted by ブクログ
富山から東京の大学に入学し一人暮らしを始めた雄士。アパートに程近い「一角通り商店街」の人たちとの心温まる日常を切り取った14のエピソード。
惣菜店、銭湯、おにぎり屋、喫茶店、パン屋、立ち飲み屋…読んでいるだけでメンチカツを揚げる匂いや、銭湯の桶の音、コーヒーの香りがしてきて、まるで商店街をぶらぶらと歩いているような気分にさせてくれる楽しい時間。
主人公の雄士が素直でなかなかいい子だから商店街のみんなに好かれているのもまたいい。個性的な店主もいるけど、悪い人が全く出てこないのが心地よく、たまにはこういう世界に浸るのもいい。
ラストは妹も同じ大学に入学し、商店街の店の2階に兄妹で暮らすことになったり、雄士が都議会議員のインターンに誘われたりとその後の展開も気になる。
仲の悪い「ちとせや」三姉妹の確執の訳とかも是非知りたいし、シリーズ化を望みます! -
Posted by ブクログ
別にエッセイでも小説でもどっちでもよくね!?
その世界にのめり込んだなら、それは良い本です。
夫婦同士も、ご近所さん同士も、良い距離感の関係があってほのぼの。特に主人公夫婦を見ているとこんな夫婦になりたいなと思ってしまう。舞台のマンションの外観や、ご近所さんの風貌を想像しながら読むのも一興だった。
家出した子どもは、なぜ洗濯バサミ5つを持って出て行ったのだろう。自分の読解力では想像がつかなかった…
そして1番印象に残ったのは、マルさんの妻がうつ病になってお風呂に入る気力を失った時のシーン。マルさんが『じゃあ一緒に入ろう』と言って湯船に入れてあげたり、頭を洗ってあげたり。将来仮に結婚をした時に、奥さんにそういうことを言えたりやってあげたりできるのだろうか。そう言える人に出会いたいなと思った。最終的には離婚したという現実が頭をもたげてくる。ハッピーエンドで終わってほしいと思うのは自分勝手なのか。
平和の中に人間ドラマがありありと現れていて、とても良い本だった。もしかしてパラレルワールドなのかな!?とも思える内容。 -
Posted by ブクログ
大学入学とともに上京した青年が一角通り商店街の人々と過ごす日々が淡々と描かれていて、とっても平和。
こんなに穏やかで仲良しで、一体感のある商店街はまだ東京に存在するのだろうか?
確かにいくつかの商店街が思い当たるけれど、ここまでみんなが一丸となって盛り上げようとする地域力があるのかはわからない。
もしあったとしたら、私もこの商店街の近くに住みたいし、毎日の買い物も楽しくなるだろうな。
主人公の雄士も、なんともほのぼのとした雰囲気でありながら、自立心もありコミュ力も備わった好青年。
我が子もこんな風に近所の人から可愛がられるように育ってほしいものだと思う。
実家のお母さんは、こんな素敵な青年に育った息子のことを自慢するでもなさそうで、たぶん気づいてないんだろうなと思う。
そのくらい、どっしり構えているからこそなのかとしれない。
疲れた日々に、ちょっとほっこりする読書だった