世界最古の地図から始まる、様々な地図と世界の歴史との関係を
鮮やかなカラー図版と共に紹介し、解説する。
・はじめに
第1章 地図製作の夜明け 第2章 オランダ黄金時代
第3章 フランス実証主義の地図学的想像力
第4章 植民地主義の地図製作 第5章 東洋の視点
第6章 地図と科学 第7章 風変わりな地図 説得型の地図
第8章 19世紀 第9章 存在した世界、存在しなかった世界
古代帝政ローマ期のポイティンガー地図に始まり、
中世のヘレフォード図、プトレマイオスの地図、
メルカトル図法等、地図は歴史の変遷の中で変化していった。
その国の有り様、移動手段、新たなる地を求めての冒険、
文化的、宗教的、更に経済と軍事のイデオロギーを含め、
様々な地図が製作された。科学の分野では自分の主張を
表現するために推測を取り入れた地図もあれど、
世界の山や川の比較や等温線図、海洋図なども製作されてゆく。
プロパガンダの説得型の地図は、風変わりで強烈。
19世紀の印刷技術の向上とグローバル化で、
装飾的で色鮮やかな地図が登場する。しかもコンパクト。
また、天球図やユートピア、世界創造と、
おとぎの国のパノラマビューなど、空想力豊かな地図も作られる。
そんな歴史に現れた多様な地図の紹介の中で、
それらの地図製作者にも視点を向けたのが、興味深かったです。
彼らの、地図製作のための貪欲な知識の追求が垣間見えます。
また、日本の仏教地図、江戸時代の世界地図、
明治時代の世界一周すごろくなど、中国・日本・朝鮮の地図が
紹介されていたのも、良い。伊能忠敬も文中に言及されていたし。
これら様々な地図の中に、日本が登場し、歴史の変遷の中で
形が変化してゆくのを探して見るのも、面白かったです。