P・ジェリ・クラークのレビュー一覧

  • カイロの死せる精霊

    Posted by ブクログ

    「精霊を統べる者」(2021)の続編…かと思ったら、実はこっちの方が先だった!

    ①「カイロの死せる精霊」(2016)
    ②「ハーン・アル=ハリーリの天使」(2017)
    ③「空中ケーブル015号憑依事件」(2019)

    ①と②は短編。③が中編。従って、この3作の続編が長編「精霊を統べる者」だったのだ。日本での出版順序が逆だったのだ。なるほど、納得。

    魔術省捜査官ファトマと、のちにパートナーとなるシティの出会いが語られる①。失血死した精霊の謎を追う物語。
    カイロの街ハーン・アル=ハリーリで、天使に願い事を叶えてもらおうとする少女。天使は少女に代価を求める②。
    ファトマと同期の捜査官ハメドと新人オンシが空中ケーブルに取り憑いた魔物を退治する③。二人を陰から支えるシティ。のちの物語に繋がるエンディングになっている。

    …やっぱりこっちから先に出版すべきだったんじゃないですか?創元社さん!
    世界観もずっと一貫してますもの。やっぱりネビュラ賞とか獲った長編を優先したのかなぁ。でもこっちを先に読んでいれば、あんなに混乱しないで済んでたような気がするぞ!

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    2026年07月31日
  • カイロの死せる精霊

    Posted by ブクログ

    前作『精霊を統べる者』《錬金術省》シリーズの続編、頭を空っぽにしてファンタジックな世界観に飛び込もう

    ■きっと読みたくなるレビュー
    19世紀のエジプト、伝説の魔術師によって精霊との扉を開かれた世界の物語。『精霊を統べる者』《錬金術省》シリーズの続編です。

    本シリーズは精霊や魔法など超自然的存在と共存する幻想的な雰囲気、前作では魔術省の女性エージェント・ファトマが活躍する長編小説でした。本作では世界観はそのままに、ファトマが主人公の作品をはじめ、合計3つの短編が収録されている作品集です。

    ■各短編の簡単レビュー
    ●カイロの死せる精霊
    失血死した精霊の謎を追うファトマと警察アアシムの物語、前作でファトマと恋人だったシティが登場。

    文字だけでファンタジーを表現するのって高難易度だと思うんだけど、本作ではいとも簡単にやってくれるんだよなー。現実と仮想の距離感が近いのと、設定やら現象やらひとつひとつの解像度が高いんすよね。

    さらにアクションもテンポがいいし、会話も洒落が効いてるし、プロが幻想世界をエンタメで表現するとこうなるんかと感心しきりでしたね。

    ●ハーン・アル=ハリーリの天使
    死にかけている姉を救いたい少女アリアは、天使〈探求者〉に助けをもとめるが…

    追い詰められた少女と、謎多き天使の会話が続く。まるで黄泉の国で審判をうける、魂と閻魔様のようです。天使は少女の心の奥底に潜む罪の意識を赤裸々にするんですが…

    読んでると何だか、おまえも苦しいことから逃げてんじゃねぇぞって言われてる気がするんすよね。天使の言う通り、魂の重荷をおろしことで心って軽くなるだよね。

    ●空中ケーブル〇一五号憑依事件
    公共交通機関の空中ケーブルに何やら取りついてしまったという事件、魔術省エージェントのハメドとオンシが解決に挑む。

    引き続きファンタジックな世界観ではあれど、人間関係やら予算やら参政権やら、やたら現実的な課題がテーマになっている作品。事件が徐々に拡大していくのですが、エージェントふたりも活気づいていく様子に力が入りますね。

    また終始女性の参政権にまつわるシーンが挟まれおり、社会課題への意識を感じます。そしてラストは前作に繋がるエピソードもあり、青春っぽさもあって、ほっこりしちゃいました。

    ■ぜっさん推しポイント
    まるでゲームの世界に飛び込んだような作品なんですが、描かれている本質は現実世界のこと。特に本作で感じるのは、女性の扱いについて課題提起をされているように思います。普段つい見過ごしている歪みを、より生々しく気づかさせてくれました。

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    2026年06月29日