朝日新聞「わたしが日本を出た理由」取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝日新聞の連載を書籍化。海外に移住した(/移住予定の)若年層の人たちを取材している。上は40代から下は10代までと、まさに働き盛り・伸び盛りの年代揃いである。
労働環境に見合わない給料に、旧式で非効率な教育カリキュラム、村社会ならではの凝り固まった価値観etc…海外へと飛び出した理由は様々であるが、彼らのほとんどは永住まで決め込んでいる。
移住の理由が高度経済成長期やバブル期に行かれた方と乖離しているのも、特筆すべき点だ。
率直に言って、希望を見出したり「凄い!自分も移住したい!」とは思えなかった。
日本は大丈夫なのか。就労条件や教育カリキュラムetc…が少しでも改善したら、彼らのうち何人が戻ってきてくれるのか。同胞が海外で活躍する喜ばしさよりも、もの寂しさの方が際立つ。不安ばかりがずっと頭を駆け巡っていた。
「わたしの世代は青年期に、『日本はだんだん良くなっている』という実感を持てないまま大人になりました」
こんな真面目で仕事に誇りを持っている人達がいるってのに、日本ってやつは…。我が国のことながら、情けなくなる。やりがいは感じられても規則と時間に縛られ、働き手の意志には蓋をされる。就学前や小学校の低・中学年からインター進学のために「教育移住」した子たちも、海外との落差に勘づいているようだった。
本書の皆様が求めるのは、自分を受け入れてくれて、正当な評価・対価・暮らしを獲得できる社会なのだ。
日本での英語の成績が良くても海外生活ともなれば、よりハイレベルの英語力が求められる。(移民大国のカナダでさえ、永住権の獲得にはIELTSの4技能で9.0中7.0以上に達していないといけないらしい…IELTS激ムズだった…) そんな言葉の壁という一番のネックを克服してでも移住したい。果ては市民権も獲得したい。
志の高い若者たちに気前よく門戸を開こうとしない日本。子供は国の宝・未来の日本を作るのは若者だってのに、今のままでは「流出」のあげく「流失」してしまう。
「海外に永住する日本人の動向は、日本で暮らすわたしたちの生き方次第だと思います」
「自分も移住したいと思わせる内容ではなかった」と冒頭に書いたが、代わりに次のことを思い起こすつくりになっているのではと思う。
われわれ読者(あわよくば心あるお上の皆さん含む)が負担になっている制度を見直したり、今回良いと思った海外の事例を徐々にでも導入していけば、少しは未来への展望も開けるのではないだろうか。本書の中にも、知識や経験を日本に還元したいと仰る方や、日本の職場を風通し良くしようと心がけている方がいらっしゃった。
経年凝り固まっていった岩は社会のあちこちにある。どうにかするには大変な気力と労力が必要なのは素人目にも分かるが、見過ごしてしまえば岩を這い上がってでも逃げようとする人が、益々後を絶たない。
日本を去る予定のない自分にも、頭の中で思考という岩が凝り固まっているのを実感できた。移住者の皆様が、それぞれの変わりようを示してくれたからに他ならない。 -
Posted by ブクログ
総務省のデータによると22年、23年に海外へ転出すると届け出て移住した日本人は15万人前後だそうだ。
給与、労働時間、パワハラ、セクハラ、休日、子育て、教育、家族、結婚、多様性・・・ほとんど全ての指標で日本の「生きにくさ」は明確になっていて、それはたくさん報道されている通りにのだけど、若者、機動力のあるもはその解決策として海外を目指す。本書は海外に移住した若者たちのルポ。
移住する理由の一つ一つが、「そうだよね」と納得。出生数の減少だけではなく、社会的流出もあって日本の人口は今後も減り続けるのでろう。
そして、「日本人が生きづらさを感じている社会に、外国人の方々が期待や憧れを持ってきてくれるとは思えません。・・・・「外国人に来てもらえればなんとかなる」というあまりにも楽観的で、驕りのあるシナリオは、もう成り立たないと思います」という福井県立大の佐々井教授の言葉は重い。
若者の流出を追うことで、この国の問題、早急に解決しなければならない問題を明らかにする。