マッキンゼーによるM&Aの本
教科書的な話をも要点整理的に述べられており、良い復習になる
名前は仰々しいが、とても中身が詰まっており、重要論点もとても参考になるレベルの丁寧さで記述されており、素晴らしい。
メモ
・M&Aの目的化や予算設定は戦略ではない
あくまでも戦略の実現のために外部から獲得するべき要素を先に特定するもの
・支払いプレミアムを超えるシナジー創出が大原則
・米国M&Aではプレミアムの平均は25%
・買収シナジー全体像
スタンドアローン価値最大化
オペレーション効率化
資産経営資源の適正化(ノンコア売却含む)
財務最適化(レバ活用含む)
情報非対称性是正(IR)
買い手に実現されるシナジー
対象会社が得られるもの
買い手が得られるもの
間接部門業務統合、生産拠点統合、共同購買、クロスセル
・M&Aにおける重要要素
シナジー、ガバナンス、プレミアム
・M&Aの成功率は1-3割
⭐︎M&A成功の要諦
全てのM&Aにおいて全社戦略、事業戦略とM&Aテーマの一貫性を保持すること
対象会社から獲得するケイパビリティを明確化し、明確なシナジー説明ができるようにすること
M&Aは負けから始まるゲームであると認識すること
M&Aにおける経営陣の役割を鍵となる重要な数々の意思決定を行うことと認識すること
M&Aとはワンタイムイベントではなく組織能力であり、M&Aを継続して成功させる組織能力の強化を継続すること
・M&Aブループリント策定のために
企業戦略
M&A戦略 事業戦略達成するためのM&Aを言語化
M&Aテーマ M&Aで入手すべきケイパビリティを特定。ターゲット企業に提供できる価値も明確化
ソーシング ターゲットリストアップ 選定基準設定 優先順位付
・M&Aテーマに含まれるべき要素
事業領域や事業モデルおよび成功要件
成功要件のうち外部から入手したい能力
自社によるターゲットへの提供価値
・投資テーマ策定と魚群探査の行き来
・M&Aをプログラマティックに
そのための推進体制の構築
・ディール執行における典型的な落とし穴
ディールフィーバー
ディール完璧主義
経営陣の理解不足
アナリシスパラリシス
シナジーの過大評価
・ddフェーズのリスク対処法
spa内の表明保証でリスクを売り手に付帯
アーンアウト、価格調整メカニズム、条件付き支払いでリスクアップサイドを売り手と分担
M&A保険の購入
買収後モニタリングでダウンサイドインパクトを限定
・経営陣の役割
ディールの戦略意図と投資命題を明確に持ち、遂行部隊の活動と意思決定に反映
投資命題の鍵となる構成要素に注力し、ターゲットのバリエーションとも連動していることを担保する
ディール後にも学びやプロセスを体系化し、その後の成功確率を向上させる
・投資命題の初期仮説を明文化しておくこと
・What you need to believe(シナリオの前提条件) を明確に指定置くこと
・繰越欠損金がキャッシュ同等物となり、評価に大きく影響することも
・PMIの三つの役割
事業の継続性担保 事業の勢いの維持
価値想像活動の徹底した実行 シナジーの最速最大実現
新組織新会社の確立 融合する
・PMI設計思想の明確化
PMI全体の統合方針の合意
統合における最重要意思決定事項とタイミング把握
PMI活動の原理原則の策定
・シナジーの実現
シナジーは実現効果を定量的に計測することが必要
社内では高い目標を掲げるべし
ベンチマークに頼りすぎず具体的な施策の積み上げを加速
コストも売り上げも落とさない
時間が大事 コスト側は18ヶ月が勝負
シナジー実現のコストを見込む
・企業文化へのアプローチ
企業文化の違いを主要メンバー間で明示し共通理解を形成
あるべき姿を定義する
施策に落として緻密に実行