W・コリンズのレビュー一覧

  • ロンドン幽霊譚傑作集

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    ホラー小説自体あまり読んだことがなかったけど、少し読んで好きそうな雰囲気だったから気になって購入。
    幽霊といえば、復讐のために無関係の人を巻き込んで主人公達を恐怖で狂わせたり、目に見えず触れられないことを利用して突然物を投げたりいたずらをして嘲笑ったり、そんな単純なイメージがあったけれど、今回また違った幽霊に出会えた。
    生者とは相容れない霊体の虚しさや儚さが程よく温度を取り去って、読んでいて寒さが心地よく、魂の抜けた肌に触った時の指先の冷たさを思い出した。
    静けさに身を浸したい時、また読もうと思う。

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    2025年10月25日
  • ロンドン幽霊譚傑作集

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    魔都ロンドンを舞台とした怪談集。
    …なのだが、なんだか似通った印象を受ける作品が多いのがややマイナス。
    あとがきにも書かれているが、いろんな意味で下心ある男性と、犠牲になる女性、彼らを含む三角関係…という話が多く、男性が医者という設定が共通しているものも。
    一応、ストーリーや結末は異なっているのだけれど、なんか似た感じの話を繰り返し読んだ感じが短編集&ほぼ初邦訳のお得感を削ぐ。
    とはいえ、面白い!は勿論ある。
    「物理で倒す」系の「ウェラム·スクエア十一番地」、ロンドンを象徴する「犯罪」と「降霊会」の組み合わせ「降霊会の部屋にて」、
    なんとなく美少女(ツンデレ?風味)ラノベな雰囲気のある

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    2024年12月29日
  • ロンドン幽霊譚傑作集

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    ヴィクトリア朝英国の魔都、ロンドンを舞台とした、
    幽霊譚のアンソロジー。本邦初訳の作品を中心に13篇を収録。
    ・ロンドンの地図
    ザント夫人と幽霊 ウィルキー・コリンズ
      ・・・父娘が出会った未亡人の不可解な行動と、
       邪な者への不可視な者の怒り。
    C―ストリートの旅籠 ダイナ・マリア・クレイク
      ・・・旅籠の窓を叩いた音。それは鳥か?それとも?
       そして不幸が。
    ウェラム・スクエア十一番地 エドワード・メイジー
      ・・・代々の当主たちが去らざるをえなかった邸に、蠢く者。
    シャーロット・クレイの幽霊 フローレンス・マリヤット
      ・・・生前も死してからも繰り返される愛人の訪問の恐怖

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    2024年03月27日
  • ロンドン幽霊譚傑作集

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    ネタバレ

    19世紀ヴィクトリア朝期のロンドンを舞台とした幽霊譚13編、内12編が初訳。9編が女流作家の作品のためか幽霊譚の体を採りつつ当時の女性の境遇や社会的地位を物語るような作品が多い印象。その一方で、男性作家による4編はどれも男性ならではのロマンチシズム(というか理想?)が表されているようで、その辺りの対比もなかなか面白い。全般的に三角関係が描かれている作品が多いのも特色だが、続けて読むと(またこのパターン?)と感じてしまうのも致し方ないところ。

    いわゆる“ジェントル・ゴースト・ストーリー”的なものも多く全体的に怖さ度は抑えめだが、資産家の女性との結婚のために元恋人を無惨に打ち棄てた野心溢れる青年

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    2025年10月14日
  • ロンドン幽霊譚傑作集

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    ・またである。何匹目の泥鰌になるのか。夏来健次編 「ロンドン幽霊譚傑作集」(創元推理文庫)、この手の物語の愛好家が多いのであらう。私もそれに当たるのか、何匹目かにもかかはらず私は買つた。この古風な物語にはこのまま捨て おき難いものがある。しかし、最後は忘れてしまふ。そんな物語ばかりである。本書には13編収録、 巻頭のウィルキー・コリンズ「ザント夫人と幽霊」のみ既訳あり、他の12編は初訳である。コリンズ 以外で知つてゐる人はイーディス・ネズビットぐらゐであらうか。「砂の妖精」の作者である。これ以 外の人は知らないのだが、ネズビットを含めて9人が女流作家である。意識して選んだのかどうか。たぶん意識

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    2024年05月17日
  • ロンドン幽霊譚傑作集

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    同じ編者の手になる「クリスマス」にも同じようなことを書いたけれど、怖い話を読みたいという向きには勧めがたい。エリザベス朝英国の雰囲気も込みで、古風な怪談を愉しみたい読者向け。単に幽霊が出たで終っている話が多く、登場人物に危害が加えられる場合でも、今の読者の目から見ると手ぬるい感じだ。この頃の怪談は、節度ある、そこそこの恐怖を与えることがそもそもに目的だったのだろう。そんな中、例外的に、今読んでも怖い「事実を、事実のすべてを、なによりも事実を」や、ミステリ風の「降霊会の部屋にて」あたりがお気に入り。

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    2024年03月19日