契約書について、わかりやすくまとめられていて、勉強になる。契約書全般に関する基礎がまとめられているなかなか本はなく、2020年4月1日施行の新民法を踏まえた解説もあり、契約書書式例集もあるため、有用であると思う。
1. 契約書の基礎知識
・契約書は、通常ビジネスにおいて契約を締結する場合に限って用いられる
・契約書をつくる意味→①証拠を残す、②合意の形成・確認のための道具として用いる(詳細な契約内容について確認・合意、権限を有する者の意思確認)、③信用性を確保する
・協定書:大きな事項を合意する場合
・覚書:何らかの契約が成立している場合に付加的な事柄を合意する場合
・署名=記名押印(実務においては圧倒的に記名押印が利用)
・契約当事者の氏名や社名が変更した場合→契約書が証明する契約の効力は氏名や社名変更後も継続するため、締結し直しは必要なし
・他社との合併や会社分割の場合→従来の相手方との間の契約関係はなくなる(一般承継)。契約上の地位が移転した場合でも、締結し直しは必要なし
・約款:大量の同種取引を迅速かつ効率的に行うために作成された定型的な内容の取引条項
2. 契約書の読み方・つくり方の基本
・契約自由の原則という私法の一般原則がある
・契約書は、「何をするのか」「トラブル予防」「一般条項」で構成される
・「何をするのか」が一番重要
3. ケース別、契約書の読み方・つくり方
・契約書は、明確性と十分性を備えるべき
【例.業務委託契約書】
・業務委託契約は民法に定めがない。請負契約と委任契約は民法に定めがある
・ほとんどの場合、業務委託契約は、請負か委任契約に分類される
・請負契約は仕事の完成、委任契約(準委任契約含む)は事務処理の委託を目的とする
【例.ライセンス契約書】
・権利等を許諾する者をライセンサー、許諾を受ける者をライセンシーという
・特許権実施許諾契約書
【例.秘密保持契約書】
・一般的に「NDA」と呼ばれる
・民法上の規定はなく、当事者間の契約内容がすべて