寮美千子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一から読んで、また一から読み直した。
と言うのも、奈良少年刑務所の収監者たちが書いた詩がはじめに掲載され、そのあとで著者の解説(刑務所での「社会性涵養プログラム」の講師を務めることになった経緯や、受講した収監者たちの成長過程など)が綴られていたのだ。背景をよく知った上でまた詩を読み直すと、受け止め方がまるで違ってくる…
(P 92)「誕生日」
小さいころは いつも手を引いてもらったのに
いつのまにか その手を拒み 避けてきた
「産んでくれなんて 頼んでない」
勢い余って そう言ったとき 泣き崩れた母
きょうは わたしの誕生日
それは あなたが母になった誕生日
産んでくれなんて 頼まな -
Posted by ブクログ
ケーキの切れない非行少年たちなどが流行った時期に一緒に購入した詩集ですが、難しい言葉を使わず飾り気のない素直な言葉で綴られた詩に胸を打たれます。
キラキラひかるような繊細な日常の切り取り方をしている詩もあり、刑務所という場所でもこんな詩がかけるのかと驚きました。
その詩が生まれた背景なども書かれていて、彼らの生きてきた環境や罪、人となりといったことを考えずにはいられません。
家族、とりわけ、おかあさんのことが書かれているものも多く、子を持つ母としても、母が子に与える影響の大きさを考えさせられます。
ふと、立ち返って読みたくなるときがあるので、リビングの手にとりやすい場所に並べている一冊。 -
Posted by ブクログ
この、題になっているたった一行の詩。
読み取り方は人それぞれ。でも、これを書いた少年のこと(環境や現在置かれている立場、生い立ち)を知ったら。
この1行を書けるのは、この少年しかいない、と思う。
いったい、青い空に浮かぶ雲を見てどれだけの人がその色の意味を考えるだろう。
罪を犯してこんなところにいる少年たち。でも果たしてそれが罪であることを彼らは知らずに育ったんじゃないか。何が良くて何が悪いのか。
どうして、いつもおなかがすいているのか。おかあさん、って殴るひとじゃないのか。
決して彼らを弁護するためにこの詩集が出たわけではないし、被害者がこれを読んだらどう思うだろうか、と考えずにはいら -
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奈良少年刑務所詩集第二弾
ここにあるのは封じ込めていた愛への渇望。
☆愛を欲しい自分 愛を与えたい自分に 気がついたから これからは 「与えてもらえる人になるため 人に与えていきたい」って思う
☆刑務所の監房の扉の内側にはドアノブがありません。自分で扉を開けるということが一切ないからです。
☆詩の力 詩とは、心の襟を正さなければ書けない神聖な言葉。自分の魂の本質がバレてしまいそうな言葉だ。詩は心の結晶。だからこそ受け止めてもらったという実感が強くなるのでは。
☆根源的自信=基本的自尊感情
☆子どもは何を教えられたかではなく、どう接されたかから学ぶ
☆ぼくは 家族の愛を知らずに育った だから 家 -
Posted by ブクログ
奈良少年刑務所は、一度見に行ったことがある。
それはそれは素晴らしい門構えで、
刑務所と言われなければ歴史的建造物にしか
見えない美しさ。
その刑務所の中で過ごす700名あまりの
青少年たち。
罪を起こしたことは、被害者の方たちを思うと
決して許されることではない。
しかし、そんな加害者たちの育った家庭環境や社会は複雑で、
罪を犯した彼らだけのせいではないことを改めて
考えなければならない。
だって、やっていいことといけないことの分別は
分かるはずだから。
分からなかった理由は、必ずあるはずだ。
そこをちゃんと考えて大人や仲間が寄り添ってあげることが彼らには必要なんだ。
社会性涵養プログラ -
Posted by ブクログ
同じテーマで違う切り口の本があるので、続けて読むと感動が薄れるところはあるものの、やはり心の深い所を揺さぶられる本だった。解説のない詩は背景を色々想像してしまう。
自分の気持ちを言葉に変えるという作業が、詩という媒体を使ってこんなにも効果があるというのに(効果を出すためにはここの教官のように背景を知り待つということが不可欠で、チームメイトの実直な感想も大きいとはいえ)、今の国語教育はあまり文を書かせない。小学生のころ灰谷健次郎を読んでいたから、もっと詩が心の更正に利用されているかと思ったけど、実際の教育現場ではそんなことなかったです。読書や作文は効果を計りにくいからかな~。
重大な犯罪者が収監 -
Posted by ブクログ
☆くも 空が青いから白を選んだのです
☆言い訳にするな あの日 あの一歩を踏み出さなかったことを いまをがんばらない言い訳にするな オレ これからは いまを生きていく自分でありたい
☆言葉 言葉は 人と人をつなぐ ひと言だけで 明るくなり ひと言だけで 暗くなる 言葉は魔法 正しく使えば たがいに楽しいし 気持ちがいいけど 間違えば 自分も相手も傷ついて 悲しくなる 言葉はむずかしい けれど 毎日使うもの 大切に使って 言葉ともっと なかよくなりたい
☆サンタさん ぼくは 余った子どもなんだ どこかに さみしいママがいたら ぼくがプレゼントになるから 連れて行ってよ