出馬弘昭のレビュー一覧

図解即戦力 電力・ガス業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

江田健二 / 出馬弘昭 / 柏崎和久

表紙に書かれている通り「しっかり分かる」中身で満足度が高い。もう少し業界のドロドロした世界を知りたかったが、流石にそこまでの話はないが、記載される綺麗事の側面だけでも十分学びがあった。技術的なトレンドやカーボンニュートラルにも多々触れる一冊。

都市ガス以外のガスの供給方式として、LPガス事業が1950年代に本格化。LPガスの主成分は石油精製の副産物として得られるプロパンとブタンで、これらは常温・常圧では気体だが、圧力をかけて液化させボンベやタンクで配送する。都市ガスのパイプライン敷設が経済的に難しい郊外などでLPガスの利用が拡大し、都市ガスの国土面積カバー率は約6%だがLPガスはほぼ100%国内で約2万のLPガス事業者がある。

電力の小売自由化は話題になったが、ガスの自由化はあまり記憶になかった。電力自由化では数百社が新たに参入したが、都市ガスの新規参入者は少なかったからだ。一番は天然ガス調達の難しさだが、2つめの理由が前述の導管（バイプライン）の国土カバー率が約6%にとどまるという問題。

他にも、太陽電池や水力発電の話。透明な物質でつくる太陽電池の開発が進めば、ビルの窓やスマートフォンの画面でも発電が可能になる。ペロブスカイトという結晶構造をもつ素材を使った太陽電池もあり、宮崎哲弥が動画で期待を述べていた。道路の路面に太陽光パネルを埋め込む技術や、量子ドットと呼ばれる微小な半導体粒子を使った太陽電池なども期待したい。

まあ最も期待したいのは核融合だが、あらゆる利権に潰されない事を祈る。