錦織良成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
49歳の筒井肇に自分を見た人は多いのではないでしょうか?
家庭を顧みずに仕事だけの人生、本当はやりたいことがあった・・・
人生を良く、深く生きたい。生きて欲しい。
最後の場面では涙が止まらず、東海道線内で顔がくしゃくしゃになりました。
一流会社を退職して、運転手になった。
「やっと乗ってくれたね俺の電車に」
「うん」
「・・・由紀子」
「ん?」
「終点までちゃんと乗っててくれよな」
「はい」
由紀子はしっかりと返事を返す。
そう、線路のように二本のレールは併走する。
一本に重なる道だけがフ符の進む道とは限らない。
どちらかが、どちらを犠牲にす -
Posted by ブクログ
これは映画を補完する物語だと考えると、とてもいい内容だと思います。まずは皆さん、読む前に映画を。
理由はひとつ。主人公・肇だけでなく、彼以外の登場人物の心の動きをより深く知ることができるからです。
「あのシーンで、実はこんなふうに思いながら居たのか」
「あのセリフの裏にはこんな想いがあったのか」
きっと、ひとつ、ふたつ、新たな感動が湧きあがります。特に主人公・肇の妻の心の動き、母・絹代の息子へ伝えた方心のメッセージなどは、小説だからこその描写です。それ以外にも、映画では短い時間にしか登場しない人物たちにも、しっかりと物語が書き込まれています。不覚にも久しぶりに小説で涙しました(苦笑)。も -
Posted by ブクログ
最近、電車の中吊りでやたら見かける映画のノベライズ版。タイトル通りの内容です。
ちなみにフィクション。こんな夢物語、あるわけ無いやん!とツッコミたい所ですが、千葉県のいすみ鉄道には50代の運転士が誕生するそうで。いやはや。
うーん、どうにも青臭いストーリー展開で、ちょっとどうなんだコレは、というのが率直な感想。前半の主人公が葛藤している部分は結構良かったんですけどね。読んでいてツライ部分もわりとありましたし。だけど、そこから一足飛びに(養成過程での苦労とか、人間ドラマとか、そういう話がもっとあるものだと思っていた)運転士になって、懸案がきれいさっぱり解決していくという展開に、やっぱり安易だな -
Posted by ブクログ
中井喜一さん主演で島根が舞台となった映画のノベライズ本ですが、
映画を観ていない私でもとても感動を覚えた一冊でした。
筒井肇は大手家電メーカーの経営企画室長。
リストラのために工場閉鎖を淡々と進めるなど、
仕事一筋の筒井は取締役への昇進が内定するなど順調に会社人生を送っていた。
その反面、妻や娘との会話は少なくなりすれ違いが多かったが、
筒井はそれを不満に思いながらも仕事に邁進していた。
そんな時、島根に住む母親が電車の中で倒れて入院したという知らせが入る。
帰郷した筒井は母親の面倒を見るために東京の病院に転院させようとするが、
重い病を持った母親は自分が生まれ育った島根の地を出ることを嫌が