この本は実に興味深い。雑学というより、西洋画で珍しいテーマの絵を集めて解説を加えたものだ。
ドラクロワ「愛人を見せるオルレアン公」実にゲスい絵。愛人の下半身を、その夫に見せるというもの。ふざけんなよという感じ。
ルニヨー「快楽の法要からアルキビアデスを引き離すソクラテス」そんな弟子なんかほっとけよ。
アンダーソン「笑うかな、笑わないかな」男の子と女の子が実に可愛い。
フェイア「家庭での出来事」壺を割ったお嬢様が壁をぐりぐり。こういう仕草はどこでも共通か。
ベレイ「ジョーカー」二人で笑い転げる爺さん婆さんが微笑ましい。
クラナハ「アリストテレスとフィリス」ハニートラップに引っ掛かるアリストテレスって、情けなくない?
カバネル「堕天使」ルシファーの涙が壮絶。
シラーニ「アレクサンドロス大王の武将を殺すティモクレア」騙して井戸に突き落とすのが痛快というか、結構お馬鹿な感じ。
ウアス「ミネルヴァとアラクネ」ミネルヴァって普通に最低な奴。蜘蛛の化け物にするなんて、さらに最低。
サンズ「愛の影」ムキィーッを絵にするなんて。
リベーラ「女の決闘」二股掛けられたどうしが決闘なんてやめとけよ。そんな男、捨てちゃえ。
ベルスキー「学校の入り口で」田舎から転校してきた男の子がなかなか教室に入れない。なんか励ましたくなるね。
ソモフ「青衣の貴婦人」悲しみを称えた美しい女性。モデルの画家エリザヴェータ・マルティノワはソモフに恋していたそうだが、4年後に結核で他界。
バートン「タレット階段の逢瀬」ヘンリル王女と警護役ヒルデブラントの悲恋。王女の紫衣が効いている。
ウェールツ「マラーの暗殺」ダヴィッドと絵とは大違いのミュージカルかよというくらいの大袈裟な、思うにお笑いの絵。殺されたマラーもポーズをとってるぜ。
ソラクロワ「黄金のドレス」サテン、シルク、ベルベットの無茶苦茶光輝く描写が凄い。
ロブリション「おもちゃ屋の窓」ガラス窓に鼻を押し付ける女の子たちが可愛い。