池田尽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
非常に良書だ。歴史、人工知能、ロボット、心理学や社会学まで幅広い研究を総合し、あらゆる視点から「AIロボットと人間がセックス可能か」どうかを探る。
性に対してオープンかつ前向きである姿勢に非常に共感を覚えるが、それでいて中道なフェミニズムに立脚し、科学的、人道的見地から性を論じているのも好ましい。
そしてなにより、文章が面白い!
言い回しや語彙にユーモアが散りばめられているから読み通していてずっと楽しい。
まるで日本人が執筆しているが如きスムースな文章で、翻訳者にも脱帽である。
少なくとも今まで自分が読んだ外国作家の本の日本語訳の本としてはベストだと感じた。
さて本書の最終的な提案は、そもそもAIが人間的である必要がない、というものだった。
確かに、触手もケモ耳も私はよいものだと思う。
快楽を目的とするものと、心の安心や所属感、求められる気持ち、愛される心持ちは、かつては同居していたが、分離可能なのである。
であれば、AIロボットとのセックスという未来を考えたときの一つの提案として、非人間的セックスロボットという選択肢は納得のいくものだ。
少なくともその方が倫理的、技術的、安全保障的、信仰的にも現実味があって、実現可能性も高く、ちょうどいい落としどころだ。というか、まずはそこからな気もする。
AIに負けず、ロボット技術はぐんぐん向上している。
個人的にはロボットが、例えば自転車や車やスマホのように、社会の大勢が気軽に持てるほど普及するには相当な時間がかかると想像している。そして質料を持ち、物理的、電子的脆弱性を持っているからこそコストが大きくかかるため、人間の方がよほど安上がりだ。
これは仕事という面でもそうだが、思うに恋愛もセックスもそうだと思う。
恋愛にも性行為にも、それなりにコストがかかる。金銭だけでなく、時間も感情も体力もだ。
そのコストが賄える算段が立って初めて、「人間が滅ぶのでは…」という課題に進むことになりそうだ。 -
Posted by ブクログ
自称フェミニストの著者が終始冷静な気持ちで綴った好著だ.セックスの定義から始まり、タブー視されていた歴史を繙き、男性視点の論考が多いことに嘆き、結婚自体の動向を考察し、さらに各種統計の杜撰さを糾弾し、できる限りの考察を盛り込んでいるのは素晴らしいと感じた.老齢化社会が全世界で進行する中で、日常生活支援ロボットとしての機能をどのように設定するかは、個人的な問題が絡むだけに、さらに宗教的なバックグラウンドも無視できない状況を考慮すると、非常に丁寧な議論が必要だろう.既にかなりの数のプロトタイプが出現しており、実際に利用され始めている由だが、実際に体験したみたいとは思わない.個人的な思いだが.しかし、時期が来たらトライしたい気持ちもある.それには「不気味の谷現象」をどのように克服するかも重要だと考えている.所謂セックスワーカーとの関連も議論の対象となるだろう.いずれにしても、興味ある事項が満載の本だ.