ニュージャージー州ウエスト・ウィンザー区のガソリンスタンドでインド人の青年が銃殺された。
現場を封鎖するために四苦八苦する巡査達の下に舞い降りたホンダ・オデッセイ。
出てきたのは、人間というよりはボウリングのボール。背は低く、髪は黒い巻毛でもじゃもじゃ。歩き方は人間というよりペンギン。おそらく、人類
...続きを読むの文明の歴史のなかのどの女性よりも大きなお腹をしている。あえて想像するなら、生まれてくる子は大学二年生。
そして、繰り広げられる4人の子ども達とのけたたましいやりとり。
コミカルな登場に困ったさん側の人間かと思えば、実は超絶優秀な頭脳を持った元FBIに仕えたプロファイラーのアンドレア。
出産と共に手放さざるをえなかった、自分が本当に輝けるキャリアを「今」の中に追い求める。
ドタバタ劇とまではいかないが、夫からの家事の協力はないままにやんちゃ盛りの4人の子どもと奮闘しつつ、目下5人目を妊娠中の中、事件の真相を追うという状況には、皮肉やジョークを織り交ぜたコメディタッチの展開が必然。
ともすると疲弊感がまとわりつく設定だが、望む自分の居場所こそ声高に叫べど、こんな現状をも悪い事ばかりではないと前向きに捌いていくアンドレアの姿が好印象。
ちょいちょいシュールで際どいジョークで切り返す会話もにんまりさせられる。
世代を越えた街ぐるみの秘密に切り込んでいくところが面白味だが、比較的早い段階で朧げな輪郭が見えてくる割に、大きな構図の転換もなく終盤まで進んで行くところにもうひと捻りあるとよかったのだが。
作者は、X-Menやデッドプールなどアメコミも手掛けているとのことで、いやー手広くやりますね、と感心。