5✖️5のリーガルリスクマネジメントのマトリクスという明解なフレイムワークを切り口に、実践的な仮想事例にあてはめる訓練ができ、参考となる実際の回答例が複数掲載されている。上記訓練に入るまでの読者のハードルを下げるために、わかりやすく読みやすいマンガを本書の冒頭に配置し、リーガルリスクマネジメントの訓
...続きを読む練へとスムーズに入れる編集上の工夫が施されている。以上述べたように本書は、リーガルリスクマネジメントの「実績向上のため特別に考案されている」書籍であるため、法務部に配属されたばかりの社員や事業会社の感覚がわかっていない外部の若手弁護士がリーガルリスクマネジメントを初めて学ぶためにオススメできる。
他方、本書の法的リスクの考え方は、『事業担当者のための逆引きビジネス法務ハンドブック』で触れられているし、特段新しいものでもない。また、リーガル・リスク・マネジメントの理論的な精緻さから言えば、マシュー・ウォーリー、クリス・グゼリアン『リーガル・リスク・マネジメント・ハンドブック』の方が優れている。さらにいえば、現場感覚がある事業会社の法務部員は本書で触れられているリーガルリスクマネジメントは実践しているし、優れた外部の弁護士はこの本で理想とされている回答をしている。上記書籍の読者や経験のある法務部員・弁護士からすると、本書はわかりやすさの点では先行書籍より優れているものよ、特段新しいことを言っているわけではないため、そこまで高く評価できない。
そのため、星3で評価した。