日本だけでなく、広く世界でもUFO(Unidentfied Flying Objects)と聞くと、本来の定義である”未確認飛行物体”ではなく、”地球外生命体の乗り物”というイメージが定着し、真剣にUFOの事を考察するというのは、ちょっと眉唾物、オカルト的なイメージが先行してしまいます。
しかし、本来の定義に従って過去の発見の記録を精査すると、航空機や人工衛星などの人工物、自然現象の誤認などといった客観的な要因として説明できるケースを除くと、かなりの件数において、”説明がつかない”、まさに本来の定義どおりの”未確認飛行物体”であるケースが相当数残ります。それらは軍関係者、航空管制官、民間パイロット、軍パイロットなど飛行物体の観察眼に長け、客観的な観察眼を持ち、証言に非常に信頼性のおける人たちからの報告で、同時にレーダー記録などのデータも存在しています。航空機の運用ルールを無視して飛行場や飛行中の航空機へのニアミスも報告され、安全な航空機の運用が脅かされているケースも発生している中、それらが”本当に何だったのか”検証されないまま放置されています(本書ではこのような”客観的なデータがそろっている”発見情報を数多く具体的に紹介しています)。
これは1950~1970年代にUFOを真剣に議論することを嘲笑するような世論の形成をアメリカ軍・政府が主導したことが原因であると本書で指摘されています。その名残とも言える状況について本書ではかなり詳しく触れており、現在でも真剣な検討がなされないままとなっていることを著者は指摘しています。
”真面目に”UFOを扱った本、という触れ込みが気になって手に取ってみました。これだけの報告例を集めるのは相当な労力だったと思います。どちらかというと科学的な検証よりは、検証を妨げる世論誘導に力点を置いた内容でした。もう少し、科学的な検証を深堀し、図やデータを盛り込んでもらえれば、もっとわかりやすいのでは、という気がしました。