櫻井歓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西田幾多郎の生涯と思想についてわかりやすく解説をおこなっている、コンパクトな入門書です。
最初の著書である『善の研究』で「純粋経験」という概念にもとづいてみずからの思想を構築することをめざした西田は、その後「自覚」の立場を経て「場所」の立場へと移っていき、後期には歴史的世界に立脚した思索を展開することになります。本書はそうした西田の思索のあゆみにそって、それぞれの立場の中心的な考えかたを簡潔にまとめています。
それぞれの時期の思想について深く立ち入った検討がなされているわけではありませんが、西田哲学の全体像を概観するためには有益な内容の本ではないかと感じました。