吉村昭彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『免疫超入門』は、免疫を「病気を防ぐ仕組み」ではなく、全身を維持する巨大な管理システムとして捉え直す一冊だった。抗体やB細胞の仕組みだけでも十分驚きが多いが、読み進めるほどに免疫が、感染症・アレルギー・がん・老化・脳や精神疾患にまで関わることが見えてくる。特に印象的だったのは、免疫は頼もしい防御機構である一方、暴走すれば自らを傷つける危うさも持っているという点だ。新型コロナでのサイトカインストーム、関節リウマチ、アレルギー、免疫チェックポイント阻害薬の副作用など、すべてが「強力すぎる免疫」をどう制御するかという問題につながっていた。
また、老化細胞を若いうちは免疫が除去していることや、アルツハイマー病でアミロイドβを除去するミクログリアの機能低下など、「掃除しきれなくなることで老化や病気が進む」という構図も興味深かった。個体の老化と免疫老化が互いを加速させるという話には、老化は直線的ではなく、ある時点から加速度的に進むのではないかという印象を持った。
免疫学は「敵を倒す学問」というより、「炎症や免疫反応という危険な力をどう使い、どう止めるか」を扱う学問なのだと感じた。コロナ禍では感染者数やワクチン接種率ばかりを見ていたが、本書を通じて、その背後で身体の中で何が起きているのかを初めて具体的に理解できた気がする。日本人研究者の名前も多く登場し、日本の基礎研究の積み重ねの大きさも感じられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
p.49好中球は自壊するとき、自身のDNAを放出して、投網のように細菌を絡め取る。
p.59免疫には、病気を免れるという意味の前に、税金を免れるという意味があった。
p.60
・記憶細胞は樹状細胞からの刺激を必要としない。だから速く活性化できる。
・記憶細胞は病原体が侵入しやすい部位に記憶リンパ球が存在していることで速く強く反応できる。
p.72 子供や若者は交差免疫によって重症化しない。
p.76 今までインフルにかかっていない乳幼児では、インフルのワクチンによる効果があまり期待できない。
p.98肥満細胞は細胞質に炎症物質が入った顆粒を大量に蓄えているから。
p.132同じサイトカインでも細胞ごとに働きが異なるのは、STATや異なるシグナル経路があるから。
p.186加齢によって免疫系が不全に陥ると、老化細胞が蓄積する。老化細胞は炎症性サイトカインを分泌している。また、老化抗原を提示し、キラーTにより殺傷される。また、NK活性化因子も提示し、NK細胞により殺傷される。
p.191老化ヘルパーTはヘルパーとしての機能は低下するが、炎症性サイトカインは余計に分泌する
p.193加齢によって、ナイーブTは激減し、高齢者の血液中のT細胞の多くは記憶型になる。胸腺が年齢とともに萎縮するため、ナイーブTが減る。
p.194胸腺はストレスでも萎縮する。スポーツ選手や虐待を受けた子供など。
p.208ミクログリアは神経回路を剪定する。
p.222幸せホルモンとして有名なセロトニンに、Treg細胞を増やす働きがある。脳の免疫機構は他の臓器とは異なる特殊性がある。