川上佐都のレビュー一覧
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読み始めはJKの考え全部文章にしたみたいな感じで、
自意識過剰だなー、この頃ってこんな感じで人目を気にしてばかりだったっけ、と引き気味でした。
それが読み進めていくとどんどん共感しまくって、
片想いの相手を無意識に目で追ってしまうとか、
街で会えないかとうろついたりだとか。
そこからは気付けば少女の頃の自分に戻ったみたいに切なさにキュンキュンしながら一気読みでした。
切ない所のある物語だけれども、主人公が過去の自分にも真摯に向き合って真剣に対峙する少女で、成長を感じるし、好感がもててました。
精神的に未熟で自立できていないからこそ、境界線が引けないというか、
親友同士でもフラストレーションを -
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小学生の晶の目線で兄の達を中心に、マムカ、お父さんや回りのひとたちを描きながら、確かにそうだよね、と思わせる考えがいくつも綴られていた。
自分が当たり前にできることは、皆ができると思い込んでいること、
人の凄さを伝えるのに数字や賞に頼っていること、
やたらとコミュニケーション能力を求められること、
他にも沢山のことを晶の目線で気付かされた。
晶は達を通してその事に気付き成長している。
達は確かに世間のいう「普通」ではない、
でもしっかり晶の兄として目の前に立っている。晶に色んなことを教えて大事にしていた。
私たちが求める「普通」はこんなにもハードルが高いのか?それともしらないうちにどんどん高く -
Posted by ブクログ
表紙絵を描いているみなはむさんの画集を持っていて、表紙絵で衝動買いした一冊。中身も何も知らず積読されていたのを読んだら、とても刺さる物語だった。
その人の良さは、本当に出会った人にしか分からない。そういう人と出会ったことがある人、そういう大好きな、尊敬する人がいたら、共感できると思う。
小学5年生の晶(あき)は、絵がうまくて、頭がよくて、いろんなことを教えてくれる兄ちゃん、達(とおる)のことが、とにかく大好きだった。兄ちゃんが「せけん」に認めてもらえない出来事に出会うたびに傷ついて、兄ちゃんを認めてくれる人と出会うたびに嬉しくなる。とにかく、兄ちゃんが好きなのだ。
「ぼくはぼうっと絵を見 -
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コミュニケーションが苦手で不登校の兄・達と、達が大好きな小学生の弟・晶の物語。
晶が、お兄ちゃんが大好きで大好きで仕方がないというのがすごく伝わってきました。
でも、純粋に兄が好きで自慢に思う気持ちと、周りの人たちから見えている兄の姿に対してのギャップに悩んだり、自己嫌悪に陥ったり……。
この年頃って、いろいろな見方が出来るようにもなり始めてて「正しいこと」に縛られたりもする。
それでも、子どもって考えが柔軟だなと思う。大人の常識にとらわれず、頭で考えるよりも良い意味で感情優位で動けてしまうのを尊く感じました。
モヤモヤした気持ちを打ち明けた弟に、愛情とねぎらいのこもった言葉をかけた兄。 -
Posted by ブクログ
小学5年生の晶の視点で、大好きで尊敬しているが、晶以外の人とのコミュニケーションが苦手で不登校となっている高校2年生の兄・達との関係を描く。母親の朝子視点の第二章もある。
物知りで絵が上手くやさしい兄を大好きで尊敬しているが、同級生の兄に対する心ない言動にもやもやしたり、兄に「ふつう」になってほしいと思ってしまったことに自己嫌悪したりといった晶の繊細な心の動きがよく表現されていて、心を打った。母親視点の第二章も、親子のコミュニケーションなどについて考えさせられた。達の気持ちはいずれの章でもはっきりは書かれていないが、もどかしさを抱えた複雑な心境であることはよく伝わってきた。
家族が発達障害(?