川上佐都のレビュー一覧

  • ほころぶしるし

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    読み始めはJKの考え全部文章にしたみたいな感じで、
    自意識過剰だなー、この頃ってこんな感じで人目を気にしてばかりだったっけ、と引き気味でした。
    それが読み進めていくとどんどん共感しまくって、
    片想いの相手を無意識に目で追ってしまうとか、
    街で会えないかとうろついたりだとか。
    そこからは気付けば少女の頃の自分に戻ったみたいに切なさにキュンキュンしながら一気読みでした。
    切ない所のある物語だけれども、主人公が過去の自分にも真摯に向き合って真剣に対峙する少女で、成長を感じるし、好感がもててました。

    精神的に未熟で自立できていないからこそ、境界線が引けないというか、
    親友同士でもフラストレーションを

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    2025年10月07日
  • 街に躍ねる

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    小学生の晶の目線で兄の達を中心に、マムカ、お父さんや回りのひとたちを描きながら、確かにそうだよね、と思わせる考えがいくつも綴られていた。
    自分が当たり前にできることは、皆ができると思い込んでいること、
    人の凄さを伝えるのに数字や賞に頼っていること、
    やたらとコミュニケーション能力を求められること、
    他にも沢山のことを晶の目線で気付かされた。
    晶は達を通してその事に気付き成長している。
    達は確かに世間のいう「普通」ではない、
    でもしっかり晶の兄として目の前に立っている。晶に色んなことを教えて大事にしていた。
    私たちが求める「普通」はこんなにもハードルが高いのか?それともしらないうちにどんどん高く

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    2025年10月03日
  • ほころぶしるし

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    最高。高校生の青春物はそんなに好きじゃない。でもそれを上回るほどの好きがここにあった。一つ一つの心情が丁寧に綴られていてとてもよい!

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    2025年08月28日
  • 街に躍ねる

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    単行本発売当初に気になっていた作品。
    なかなか、色んなことを思いました。

    作品の帯には
    「世間という箱の中で懸命に生きる兄弟を描く傑作小説」とあります。

    本当にその通りで、世間という箱、世の中の普通からちょっぴり出た人たちの心情が、弟の晶と母親の朝子の視点で描かれていて、世間の普通からちょっぴり出ている我が家には、それらの気持ちがとてもよく解ったし、少ししんどくもあった。
    本当に「世間」というものは、なかなかのクセモノだと思う。

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    2025年07月05日
  • 街に躍ねる

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    表紙絵を描いているみなはむさんの画集を持っていて、表紙絵で衝動買いした一冊。中身も何も知らず積読されていたのを読んだら、とても刺さる物語だった。
    その人の良さは、本当に出会った人にしか分からない。そういう人と出会ったことがある人、そういう大好きな、尊敬する人がいたら、共感できると思う。


    小学5年生の晶(あき)は、絵がうまくて、頭がよくて、いろんなことを教えてくれる兄ちゃん、達(とおる)のことが、とにかく大好きだった。兄ちゃんが「せけん」に認めてもらえない出来事に出会うたびに傷ついて、兄ちゃんを認めてくれる人と出会うたびに嬉しくなる。とにかく、兄ちゃんが好きなのだ。

    「ぼくはぼうっと絵を見

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    2025年04月22日
  • 街に躍ねる

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    絵が上手で物知りで不登校でコミュニケーションが苦手な高校生の兄。小学生の晶は他人から兄が「普通じゃない」と評されたことに戸惑う。
    自分の中の一番弱い部分を刺激されたような、心の中のあれこれが強く掴まれたような感覚。晶が必死に考える姿に感情が渦巻く。

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    2025年04月11日
  • 街に躍ねる

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    ネタバレ

    メインの話ではないけど、

    入り口が暗くて怖いと有名なCDショップの地下への階段を降りる時、背後から撃たれないように友達のシンジュとランドセルとリュックをそれぞれお腹にかかえて背中合わせになって移動するとか、

    自分が小学生の時ならやっていたであろう描写がちょいちょい出てくるのでフッと吹いてしまう。25年ほど前ネットで読んだステッグマイヤー名倉さんのOtearai Web(知ってる人居てるんかな)を思い出した。

    シンジュがほんとうにいい奴で、この友達が居て良かったよな…と思う。

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    2024年11月26日
  • 街に躍ねる

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    5年生の晶は高校生の兄、達が大好き。兄ちゃんは絵が上手。晶の話したものを描いてくれる。兄ちゃんはいろんなことを知っていて、教えてくれる。兄ちゃんはこのところ学校に行っていない。兄ちゃんはこもった気持ちが溜まると言葉にする代わり、狭い部屋の中をどすどすと走り回る。
    大好き。なのに友達に兄のことを知られたくない。そんな晶の気持ちの揺れにすっかり同調して気持ちがぎゅっと苦しくなった。すべてのエピソードが愛しくてみんな切ない。

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    2024年11月18日
  • 今日のかたすみ

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    日常生活の中のちょっとした出来事と考えたこと。とても好きなタイプの話。同じく好きな滝口悠生さんの小説を思い出した。どのお話もよかった。そういえば川上佐都さんて『街に躍ねる』もいい小説だった。今回で確実に名前覚えた。好きです。

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    2024年07月07日
  • 今日のかたすみ

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    ネタバレ

    日常の何気ないひとこまを文字に起こすと、ありふれた出来事も心が温まる思い出になるのだと思えた作品。青年から大人へ、いい意味で酸いも甘いも知り尽くした大人になる前の、悩める若者たち。
    ライフステージの変化に伴い、誰もが同じ場所にとどまることはできない。関係性も変わっていく。変わったとしても、ともに過ごした日々の思い出は確かに残る。
    登場人物の心情の描写がリアルで、等身大だった。表現の仕方や比喩もおもしろく、声を出して笑った場面もあった。今日のかたすみ、取るに足らない出来事にこそ、味がある。ライトに楽しめる作品だった。

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    2024年05月04日
  • 街に躍ねる

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    とてもよかった。「人と違うことの苦しさ、素晴らしさを描いた物語」と帯にはあるけれど、そういう視点よりも、ただ家族でいたいという願い、それ故の悩みや寂しさ、傷つけてしまう・理解しきれない怖さ、通じていると感じるときの安堵など、感情の機微がとても丁寧に書かれている優しい物語でした。第一章の小学5年生の弟目線で進むのがまたよく、揺らいだり嬉しかったりする気持ちが素直で、自分の気持ちを素直に、焦って決めつけないで感じることって大事だなと思った。

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    2024年04月28日
  • 今日のかたすみ

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    子供が少ないって政府が騒いでるけど、結婚しない人も増えてるって新聞が言っている。

    その背景って、こんな感じなのかな

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    2024年02月20日
  • 街に躍ねる

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    お兄ちゃんのお父さんも、弟のお父さんも良い人ですね。
    兄弟の仲も良さそうだし

    お母さんだけは、なんか異質な気がするけど、気のせいかな


    まあ、普通を求めてもダメだし、そもそも普通って何?って言われたら答えられないし

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    2023年04月01日
  • 街に躍ねる

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    いわゆる世の中の物差しではかれば普通ではない達、高校二年生。
    彼について、弟の晶からの、そして母からの眼差し。

    本人だっていろいろ考えているだろう。同じように一緒に暮らす家族も考える考える考える。

    答えなんてなくて、ただ温かさの残る物語。

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    2025年11月15日
  • 今日のかたすみ

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    一章目の途中で「あー、駄目かも」と思ったが、とにかく二章まで読み進めた。やめないで良かった。二章目の『毎日のグミ』も良かったが『避難訓練』がなんだか沁みた。ちょっとした比喩や丁寧な心理描写が独特で、好きだなと思った。登場人物たちの背景や関係性がだんだんわかっていく構成になっているので若干戸惑うが、最後しっかり回収されて爽やか。

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    2025年09月10日
  • ほころぶしるし

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     奈央の周りに、寄り添ってくれる、道を示してくれる大人がいて良かった。もくちゃん、いいね。睦生の「過去の自分といまの自分は、同じじゃない」も刺さった。ペンタスの花言葉「願いごと」ボタンクサギの花言葉「夢実現」

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    2025年08月19日
  • 街に躍ねる

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     晶と達が、もがきながらも兄弟の絆を深めていく。「世間は、たくさんの人でできているが、人とは違う。血が通っていない」「自分が簡単にできること、人もできると思っちゃだめだ」達は大切なことを教えてくれる。世間が何と言おうと達を大切に思う晶が愛おしい。

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    2025年08月01日
  • 街に躍ねる

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    コミュニケーションが苦手で不登校の兄・達と、達が大好きな小学生の弟・晶の物語。

    晶が、お兄ちゃんが大好きで大好きで仕方がないというのがすごく伝わってきました。
    でも、純粋に兄が好きで自慢に思う気持ちと、周りの人たちから見えている兄の姿に対してのギャップに悩んだり、自己嫌悪に陥ったり……。

    この年頃って、いろいろな見方が出来るようにもなり始めてて「正しいこと」に縛られたりもする。
    それでも、子どもって考えが柔軟だなと思う。大人の常識にとらわれず、頭で考えるよりも良い意味で感情優位で動けてしまうのを尊く感じました。

    モヤモヤした気持ちを打ち明けた弟に、愛情とねぎらいのこもった言葉をかけた兄。

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    2025年07月31日
  • 街に躍ねる

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    小学5年生の晶の視点で、大好きで尊敬しているが、晶以外の人とのコミュニケーションが苦手で不登校となっている高校2年生の兄・達との関係を描く。母親の朝子視点の第二章もある。
    物知りで絵が上手くやさしい兄を大好きで尊敬しているが、同級生の兄に対する心ない言動にもやもやしたり、兄に「ふつう」になってほしいと思ってしまったことに自己嫌悪したりといった晶の繊細な心の動きがよく表現されていて、心を打った。母親視点の第二章も、親子のコミュニケーションなどについて考えさせられた。達の気持ちはいずれの章でもはっきりは書かれていないが、もどかしさを抱えた複雑な心境であることはよく伝わってきた。
    家族が発達障害(?

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    2025年05月10日
  • 街に躍ねる

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    書くことで正直になれる、いい意味で小学5年生が書いた作文らしさがすんなり入ってきて読みやすい。人それぞれの普通があるのは当たり前なのに他人のことになるとその普通を当たり前に受け入れるのは不思議と難しい。生きづらさと温かさを両立した現代らしい作品だった。

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    2025年03月09日