戦国時代、天皇に仕える後宮女房の政治実務に携わる役割と、
知られざる皇女の姿を解き明かし、詳細に説明する。
プロローグ 「皇后不在」を支えた後宮女房たち
第一章 戦国期の天皇を支えた女性たち
第二章 武家政権とのあいだを取り次ぐ女房たち
第三章 戦国期の後宮女房のはたらきと収入
第四章 後宮女房の一生とさまざまな人生
第五章 その多くが出家した、皇女たちの行方
エピローグ 「政治実務を担う官僚」としての後宮女房
主要参考文献、図・表組一覧有り。
皇后(正妻)不在、皇太子不在の戦国時代の宮廷の状況、
財政危機や武家や寺社の騒乱の中での、
後宮女房たちの職務は幅広いものであった。
天皇家の血脈の維持、天皇身辺の衣食住の世話。
朝廷での儀式や儀礼の準備と参列。
寺社への代参、朝廷内での祈祷への参加。
更に、天皇家の、院御所の、朝廷の財政管理や相論。
朝廷と対武家、公家、寺社との取次役をも担っていた。
天皇ー後宮女房ー武家伝奏ー武家という伝達の流れ。
綸旨・勅書と女房奉書は同等の価値と効力があったということ。
織田期には、使者として、交渉人としての役割も。
また、武家政権の変遷に伴う後宮女房との係わりの変化や、
室町幕府や将軍に仕える女房たちについても明らかにしている。
後宮女房は「家」の家格で役職が決まること。
幼・少女期から女房として出仕し、その家格で出世。
だが、天皇の代替わりでメンバーが一新。
異動して一生奉公もあれば、辞して結婚、出家と、人生も様々。
一方、出家し仏門から朝廷を支えていた、皇女たちの姿。
勤行中心の生活ではあれど、禁裏御所への里帰りや
四季を愛でる外歩きの楽しみもあった。
多少内容が、飛んだり戻ったりで混乱する記述がありますが、
近年、やっと明らかになってきた後宮女房と皇女たちの姿を、
詳細に明らかにしている、読み応えのある内容でした。
特に、引用されてる「お湯殿の上の日記」は貴重な史料。
現代語訳があったら・・・と思ったけど、約350年も書き綴られた
執務日記だから、その分量は凄そうです。