森川潤のレビュー一覧
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アップル躍進の要因をビジネス的側面から迫ったルポ。
どこまで本当というか、的を得ているのかは分からないけどオモシロイ。
自社工場を持たないメーカーであるアップルの凄味、アングロサクソン的な攻撃性がよく分かる。世界的な収奪システムを構築したアップル、そこに依存しなくてはならなかった日本メーカーと、スマホ市場での明暗が悲しい。
どこよりも優れたものを作っているのに、サプライヤーに決して報いないのがアップルってことだ。
iPodの美しい鏡面は、かつて新潟の工場ですべてが仕上げられていた。販売台数の増加にともない、大量生産が可能になるように技術移転をせざるをえなかったわけだが、ここの件りには泣けた。 -
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AppleについてはこれまでSteve Jobsの功績にハイライトされがちだったけど、本書はAppleの取引先である日本の製造メーカーや販売の現場にスポットを当て執筆されていて、新たに知る事実ばかり。
そして、これを読むと、Appleの競争優位としての「他社には真似できない圧倒的なバイイングパワー」が要になっていることを実感します。
特に驚いたのは、シャープやソニー、東芝といった日本優良メーカーに重要パーツを供給させ、ハイクオリティを提供する徹底したサプライチェーンとその品質管理体制の並ならぬマネージメントぶり、そしてこれらのメーカーのAppleへの依存度が高まる一方で、いつ何時生産委託を切られても、一切Apple自身はリスクを負わないという構図。
違う立場から見てそれが良いかどうかは別として、これができるのは、Appleをおいて世界のどこにもないでしょうし、戦略を担うバリューチェーンとして優れていることは言うまでもないと思います。
人々の価値観が多様化し、経営の舵取りがますます難しくなる時代、googleなど完全にソフトウェアの収益モデルの上に成り立っている会社と、Appleのようなハードに依存したビジネスモデルがどう進化していくか非常に興味深いです。 -
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購入した本。時代の潮流となっている「脱炭素」について学ぶために買った。
英BPのレポートには「2019年に既に石油需要はピークを迎えていた可能性がある」と発表した。ウクライナの戦争を踏まえると懐疑的だが一理あるとも思う。
テスラのイーロンマスクは「クルマそのものより、クルマを産み出す工場そのものが商品」だと考えている。自動車の設計書を変えるよりも工場を変える方が、効率を高めることができるらしい。凡人にはない発想だと感じた。
EUのルール作りもうまい。燃費の良いEVを作れば、ガソリン車に対しての罰金を減らせる仕組みを作った。まずEVを自動車メーカーが作りやすいようにしたことが良いと思った。
トヨタはバランサーである。EVにも本気であり、水素自動車、自動運転車にも本気。そこが世界の潮流に乗り遅れないという気概につながる。一方で中途半端という指摘もある。
炭素除去技術はこれから脱炭素の中核を担う。米ストライプ社には注目。
アメリカの人口構造。2028年、49%が1981年以降生まれの人になる。若い人の流行を知るべき。
経済成長と二酸化炭素削減は両立できないもの。今までの資本主義から抜け出すシステムを作らないといけない。
脱炭素とアメリカ社会の流れには今後も注視していきたい。 -
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■ Before(本の選定理由)
グリーン・ニューディールという言葉は知っているが、まだスローガンであってビジネス(儲け)には繋がらないのでは?と思っている。
■ 気づき
GPIF・ブラックロック等の年金資産運用会社の多くが、ESGのための情報公開と対策を各企業に求めている。
呼吸の過程でメタンを排出する牛が、槍玉に上がっている。なんて身勝手。
洋上風力発電、植物性ミルクなど、既に市場に受け入れられる土壌が整っているものもある。
■ Todo
ウクライナ侵攻で目標達成は遠のくかもしれない。それでも、小規模原子力なり、ビジョン設定と計画を前に進めることを、止めてはいけない。 -
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【感想】
気候変動対策は次なるテクノロジーのフロンティアであり、巨額の投資マネーが動く一大市場と化している。
地球温暖化は多くの議論を生むトピックだ。一部では、「現在の地球温暖化は太陽の活動変化における気温変動の一環である」という論調のもと、人間の手が及ばないとの認識があるが、近年における科学研究の進展の結果、「人間活動の影響で温暖化が起きている」ことが科学者の大部分の間で合意されるところとなった。これに伴い、脱炭素政策とそこに用いられるテクノロジーは、各国の政治的駆け引きに使われる道具にしてはならず、気候変動は全世界が力を合わせて解決に導くべきだという認識が固まっている。
本書は、そのような気候変動をめぐる文脈の中で、各国がどのような目標を掲げているのかということ、またカーボンニュートラルを達成するために、企業はどのようなテクノロジーの開発を進めているのかに焦点を当てる。気候変動対策とは、他のどの分野よりもテクノロジーが重要視される。EV車、再生可能エネルギー、代替肉といった新技術の開発と導入は政府からの支援を取り付けやすいだけでなく、新たなビジネスチャンスの土壌となる。地球環境を改善しながら新市場を開拓できる未来性のある業界において、「グリーン・ジャイアント(再エネの巨人)」を含むトップランナーたちがどのような製品を開発しているのかを紐解いていく。
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気候変動に対応した製品開発で追い風を受けている業界の一つに「自動車業界」がある。具体的にはEV車の開発だ。
EV車の開発でトップを走るのはテスラである。
テスラの躍進を支えたのは大規模工場の獲得による電気自動車製造の低廉化と、「充電」というインフラの整備であった。2012年に自社専用の急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」の設置を開始し、現在は世界の2500地点以上で約2万5000基が運用されているほか、2021年には全てを再生可能エネルギーで賄う計画も発表している。
一方、テスラと方針を異にするのはガソリン車の王者トヨタだ。
現在の時勢は、トヨタには非常に都合が悪い。もともとハイブリッド車のプリウスを皮切りに省エネ車製造の先頭を走ってきたトヨタだったが、世界がカーボンニュートラル化を背景としたEVシフトに代わると、ハイブリッド車は「エコ」だとみなされなくなった。
そのような中で、トヨタはEVに全面的に舵を切らずに、「全固体電池」と「水素自動車」の開発を平行で進めている。(これは本書執筆時点の状況であり、2021年12月14日にはバッテリーEV戦略を発表し、電気自動車に本格的に注力していく旨を宣言している)
全固体電池はその名の通り固体を用いるのが一番の違いだ。全固体電池はリチウムイオン電池に比べて劣化が遅く、電池の容量も大きくすることが可能で、車載向けでは航続距離1000キロも視野に入っているほか、丈夫で発火しにくく、高速充放電も可能とされる。リチウムイオン電池が持つあらゆる弱点を克服できる、まさに「次世代の電池」だ。
水素は、燃料電池に酸素とともに取り込むことで電気を生み出す。航続距離は850キロほど。水素エンジン車は水素を直接燃焼させることから、大半の部品で従来のガソリン車のものを活かすことができる。
EV、電池、水素自動車といった全方位外交は、ノウハウと莫大な資産を持つトヨタだから行えることであり、世界のトレンドをどちらが握るのかは、今後のテクノロジーの進化と政府の環境方針次第であるといえるだろう。
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以上は本書の内容の一例だが、その他にも太陽光・風力発電をめぐる「グリーン・ジャイアント」の動向やビヨンドミート開発の最前線など、気候変動を食い止めるためのテクノロジーが具体的に列挙されており、本書一冊で世界のトレンドを確認できるようになっている。
加えて、本書はテクノロジーだけでなく各国のビジョンにも触れている。各企業がどこに照準を合わせるかは政府が定める「排出規制」「環境方針」次第なところもあるため、政府が考えている現在地と未来へのロードマップをまず丁寧に読み解くことが、環境対策の最前線を押さえる重要なカギになる。本書はこれに伴って、グローバル目標→国ごとの方針→企業の開発動向、という流れに沿って説明を行っており、これが分かりやすさと詳しさを両立させている点だと感じた。
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【まとめ】
1 現在、再エネ業界で何が起こっているのか
今、世界が向かっているコンセンサス自体は極めてシンプルだ。目標は「産業革命前と比べ、平均気温の上昇を1.5℃以下に抑える」ことであり、そのために2050年までに「温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにする」(カーボンニュートラル)というのが大きな流れとなっている。これはもはや「可能性の議論」ではなく、すでにあらゆる人間活動の前提となっている。
本書では、新たにエネルギー業界の盟主へと躍り出てきた企業たちを「グリーン・ジャイアント(再エネの巨人)」と呼ぶ。今、ようやく時代が追いつき、彼らはすでに世界のエネルギー変革の主役となっている。同じような逆転劇は今後、エネルギー業界にとどまらず、あらゆる領域で起きていく。なぜなら、もはや「脱炭素」の動きは各国の政治やイデオロギーの議論ではなく、すでに巨額の「マネー」が動く領域になってしまっているからだ。各国でCO2排出権に価格をつける検討が始まり、世界のマーケットを動かす機関投資家たちは、気候変動への取り組みが足りない企業から資金を引き上げている。
2 カーボンニュートラル狂騒曲
2021年8月に発表されたIPCCの第6次評価報告書では、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことに疑う余地はない」と、ダメ押しの一打が放たれた。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「人類への赤信号だ」と指摘している。
温度変化の目標は「2℃上昇」ではなく「1.5℃上昇」。気候変動の分野では1.5℃と2℃の変わり目を「ティッピングポイント」と読んでいる。ティッピングポイントというのは、臨界点のようなスイッチが入るポイントのことだ。温度はゆっくりゆっくり上がっているが、ある一点を超えると影響の出方がガラッと変わり、いくらその後に温暖化を止め、気温が上昇しなくなったとしても、氷は解け続けてしまう。そのようなスイッチが入ってしまう恐れがあるのが「+2℃点」である。
カーボンニュートラルは、全世界が具体的数値を目標に掲げながら取り組みに当たっている。
一度はパリ協定を脱退したアメリカも、バイデン大統領の就任に当たり復帰。今後8年間で総額2兆ドル(可決時には1兆ドルに減額)以上をグリーン化につぎ込む「アメリカ雇用計画」の発表や、世界の40の国・地域の首相を束ね「気候サミット」をオンライン開催するなど、気候変動対策を矢継ぎ早に打ち出している。
世界の温暖化対策で先頭を走るのは欧州である。EUの欧州委員会委員長のウルズラ・フォンデアライエンは、2030年の温室効果ガス55%減(1990年比)を達成するための野心的な包括案を打ち出しているほか、「国境炭素税」の導入を検討している。
また、発展途上国の中国も気候対策に前向きだ。
石炭火力発電所の新設が相次いでいる中国だが、一方で2020年には7161万キロワット分の風力発電所を新設しており、これは2019年に世界全体で建設された風力発電の総量を上回る。太陽光発電も4820万キロワット分を新設し、2030年までに両者の発電能力を12億キロワットまで拡大させる目標だ。
3 グリーン・ジャイアント
2020年末、米のエクソン・モービルが、新興再エネ企業に時価総額を一時的に抜かされるという事件が起こった。抜いたのは無名の地方エネルギー企業である『ネクステラ』だ。
1992年当時、ブッシュ政権では風力発電への助成が始まっていたが、2000年代に入ると、各州が地元の電力会社に再生可能エネルギーの使用を義務付けるようになる。すでに風力発電へと進出していたネクステラは、規模の経済で他社より発電機を安く購入し、安定的な建設と運用を実現していく。以後10年間で、テキサス、カリフォルニア、中西部などで次々風力発電プロジェクトを立ち上げると、さらに2006年には、太陽光発電所も手掛けるようになる。これも、太陽光発電への政府補助が生まれるタイミングを捉えたものだった。つまり、ありふれた地方電力会社の一つに過ぎなかったネクステラは、再エネをめぐり連邦や州政府の規制が変わるタイミングを的確に捉えることで、徐々に転身を図ってきたのである。
ネクステラを始めとした現在世界を席巻している再エネ企業は、いずれも旧来のエネルギー企業だったのが、この20年のどこかのタイミングで再エネに賭けて「転身」したものであり、テクノロジー業界のように、ピカピカのベンチャーがいきなり登場したわけではない。しかし、再エネのコストがまだ高く、代替手段としか考えられていなかったころから、その可能性を見抜き、建設や導入を優先させてきた。21世紀に入り、テクノロジーの進化と低価格化に合わせて発電性が伸び始めると、欧州メーカーがリードしていた市場に中国メーカーが一気に台頭、採算がとれる価格までコストが下がる。これがグリーン・ジャイアント登場の土台になったのだ。
4 気候変動とマネー
近年投資家たちが、世界の石炭火力を始め大量のCO2を排出する新案件に対し、撤退を迫るムーブメントを起こしている。投資マネーの世界では「石炭はリスク」という前提がすでに共有され始めている。
こうした手法は「ダイベストメント」と呼ばれている。投資家たちが、石炭火力などを手掛けるエネルギー企業の株式売却や、案件に融資する銀行に融資引き上げを提案する行動のことであり、エネルギーや資源会社だけでなく消費財メーカーの間でも加速している。
また投資家だけでなく、アップルやマイクロソフトといったテック系製造企業が、事業全体、製造サプライ・チェーン、製品ライフサイクルにおいてカーボンニュートラルにすることを目指し、取引先に再エネでの部品や素材の生産を要求している。
5 自動車メーカー
世界がカーボンニュートラルに向かう中で、各国の政府は一気に「EVシフト」に舵を切り始めている。IEAのロードマップによると、現状世界の1%にとどまるEVのシェアが2030年には20%、2050年には86%を占めることになる。
EV界の巨人がテスラだ。
テスラの躍進を支えたのは大規模工場の獲得による電気自動車製造の低廉化と、「充電」というインフラの整備であった。2012年に自社専用の急速充電ネットワーク「スーパーチャージャー」の設置を開始し、現在は世界の2500地点以上で約2万5000基が運用されているほか、2021年には全てを再生可能エネルギーで賄う計画も発表している。
これに対して欧州メーカーは、各国政府による規制と自動車産業が一体となって動く「ルールメイキング」を軸にEV市場を立ち上げようとしている。
欧州の自動車規制は「CAFE」と呼ばれている。これは自動車メーカーが販売したすべての新車の燃費の平均を算定し、その数値が基準を下回らないように義務付けるものだ。2021年現在は走行1キロ当たりのCO2排出量を5グラム以下することが求められている。これを達成するための燃費は約20キロ/リッターであり、達成できない場合は当局に罰金を支払う義務が生じる。燃費20キロ/リッターがどういうレベルかというと、日本ではトヨタのプリウスや日産のノートなど、ハイブリッド車しか達成できていない水準である。純粋なガソリン車では、ほぼ軽自動車しかクリアできないレベルの厳しい基準だ。
自動車メーカー側からすれば、罰金を減らすためにはEVを開発するしかない。というのもCAFE規制では、EVは走行中にCO2を排出しないことから「ゼロ」とカウントされることになるからだ。ここには巧妙なからくりがあり、カウントが「ゼロ」のEVを1台売れば、もう1台販売した車の燃費が約12キロリッターでも、罰金を逃れることができる。また、基準を超過達成することができればその分を「クレジット」として他社に販売することもできる。欧州はこのように独自のルールを一気に強化することで、自動車メーカーのEV化を促しているのである。
この規制を受け、世界2位の独フォルクスワーゲンは2030年までに欧州販売の7割をEVにすると打ち出したほか、BMW、ボルボ、ランドローバーといった会社もEV開発を進めることを明言した。
対する自動車業界の巨人がトヨタだ。
もともとハイブリッド車のプリウスを皮切りに省エネ車製造の先頭を走ってきたトヨタだったが、世界がカーボンニュートラル化を背景としたEVシフトに代わると、ハイブリッド車は「エコ」だとみなされなくなった。ガソリン車を主体とするトヨタには大きな打撃である。
トヨタは現時点ではEVはやりたくない、というのが本音だ。現在の電池技術では、製造過程(鉱物の採掘過程)においてすでにCO2を大量に排出しているため、脱炭素の解になっていないからだ。
トヨタが力を入れているのは「全固体電池」と「水素」である。
全固体電池はその名の通り固体を用いるのが一番の違いだ。全固体電池はリチウムイオン電池に比べて劣化が遅く、電池の容量も大きくすることが可能で、車載向けでは航続距離1000キロも視野に入っているほか、丈夫で発火しにくく、高速充放電も可能とされる。リチウムイオン電池が持つあらゆる弱点を克服できる、まさに「次世代の電池」だ。
水素は、燃料電池に酸素とともに取り込むことで電気を生み出す。航続距離は850キロほど。水素エンジン車は水素を直接燃焼させることから、大半の部品で従来のガソリン車のものを活かせるというのも、トヨタにとっては嬉しいポイントだ。
6 気候変動とZ世代
アメリカの若者の間で、バーニー・サンダース、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスといったプログレッシブ(進歩派)が人気を集めている。
ニューヨークのZ世代の若者にとって、「気候にいいことをしよう」というのはかなり一般的である。それは今後地球温暖化が進んだ未来において被害を受けるのは自分たちだという当事者意識から来るものである。同時に、貧富の差が拡大し続ける米国においては、各企業が環境に気を配らず利潤を追求する資本主義こそが悪の元凶であり、貧富の差を是正するための一つのピースが気候変動なのだ。彼らの間では既に資本主義への信頼感が薄れ、社会民主主義への支持率が高まっているというデータがある。
7 日本に残された勝ち筋
以前は京都議定書の発効など、世界をリードする環境先進国であった日本だが、東日本大震災による原発停止により火力大国へと変貌する。加えて2012年からの太陽光バブルにより、玉石混交の企業たちが太陽光事業に参入すると、発電を制御する電力会社は再エネにアレルギーを感じてしまった。日本がLNGへの依存、石炭火力の復活といった旧エネルギー政策を推し進めていた時期に、世界はパリ協定に向かっていたのだ。
この時期の世界とのギャップは、日本のエネルギー業界における技術的空白を生み出す。再エネへのシフトが停滞する中で、太陽光のシェアはすべて中国に奪われたほか、次世代の本命である風力、特に洋上風力では、1社も国産メーカーがない状況だ。大型のLNG火力では、かろうじて三菱パワー(2021年10月に三菱重工に統合予定)が残っているが、世界がカーボンニュートラルに向かう中では、ガス火力の需要もそこまでは伸びない。
これからの日本がカーボンニュートラルに移行するためにはどうすればいいのか?
まず規制緩和だ。太陽光発電においては、これまで活用できなかった「荒廃農地」を実現し、太陽光発電の絶対量を増やす。また、送電網の問題を解決するため「ノンファーム接続」を推進するほか、イノベーションによる発電コストの削減も重要である。
風力発電においては、風車の大型化による発電量の増加とコストダウン、風車数の増大、洋上風力のサプライ・チェーンを作ることが喫緊の課題だ。
今注目されているのは、火力発電にアンモニア(燃やしてもCO2が出ない)を活用し、2050年までに「ゼロ・エミッション火力」を実現することだ。JERAはすでに2021年6月から、愛知県の碧南火力発電所の燃料にアンモニアを混焼させる実証実験を始めており、2024年度中に20%へ混焼割合を引き上げることを目指している。そして最終的には、2050年までにアンモニアだけを燃やす「専焼」につなげて、CO2排出をゼロにしたい考えだ。
そして、ゲームチェンジの鍵を握るのは原発だ。2050年のカーボンニュートラルには原発は必要不可欠というのは、日本のエネルギー構成を見る限り事実である。しかし、現在は原発に関して将来の具体的な方針が何も示されていない状態である。原発の議論を避けてきた日本では、新型原発のような安全性の高い原子炉への建て替えなどの議論が起こっていない。このまま騙しだまし古い原発を動かすような姿勢を取っていれば、再エネにおけるイノベーションは生まれないままだろう。 -
Posted by ブクログ
著者である週刊ダイヤモンドの記者2人が日本のメーカー・台湾メーカーや通信キャリア等の取材を通じて今まではタブーで殆どの人が知らなかったアップルを支える下請けメーカーの残酷な実態をレポートする。
日本の大手メーカーの東芝・ソニー・シャープ等等、相当に多くのメーカーが秘密保持契約を結ばされ一切の情報を漏らす事なく理不尽な下請けに甘んじている状況に愕然とします。
アップルの凄いところは調達先のメーカーどころか流通(大手家電量販店)や通信キャリアへの管理も徹底しており広告1つについても厳しい管理がされ徹底したコスト削減を実施させ圧倒的な人気商品のiPHONEを背景として自社に利益が集中する様な仕組みを創り上げる企業文化は昭和時代の日本企業を思い出させます。
超低利益で単品大量生産・大量販売で下請け化された企業が継続的な活動が出来れば問題ないかも知れないが毎年追求されるコスト削減により生産拠点が転々としアップル依存の高い企業は死活問題となる。勿論それを選択したのは当事者である下請けメーカーではあるが、、、
ファクトリーレスメーカーが在庫・コスト・流通等を徹底的に管理し利益追求する様は一体誰が得をするのか消費者優先・主導権を握る一部の企業のみなのではないか。物創りを忘れた企業に継続的な繁栄は有るのでしょうか?