フォトジャーナリストの著者は、戦争中の危険な国に取材に行く。なぜ死を覚悟してまで取材しようとするのか。それは、ただ、そこに暮らす人たちに寄り添い、彼らの実情を世界に伝えるため。誰かが彼らのことを彼らのそばから伝えなくては、誰にも本当のことが見えてこないから。強い使命感というより、取材して世界に発信することで、現地の友人達を助けたいという素朴な気持ちが原動力だとわかる。「行きたくない、行きたくない」と思いながら飛行機に乗り込む著者のようなジャーナリストたちのことを、私たちはきちんと理解していただろうか、と自問してしまう。