稲垣篤子のレビュー一覧
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「やらなくちゃならない仕事」を「やりつづけたい使命」に変えた女性の一人語り。吉祥寺の駅前の一坪の小さなお店だけど星のような光を放っています。ダイヤ街の道の真ん中の大行列(他のお店の邪魔にならないように?)を見たことがありますが、その光を目指してのちょっと異常な風景なのでありました。そんなに羊羹・最中食べたいの?その光は、もしかしたら彼女が仕事を始めて10年目に感じた「炭火にかけた銅鍋で羊羹を練っているときに、ほんの一瞬、餡が紫色に輝くのです。」という瞬間の発光か?いやいやそれは商品の輝きでも店の輝きでもなく稲垣篤子という人間の放つ強い光なのでありました。ものすごい負けん気の持ち主です。屋台時代
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高校卒業後まもなく、
一家16人の生活を1人で背負ってお店に立ち続けた女性の実話。
決して弱音を吐かない・泣かないと覚悟した芯の強さ、
1つ1つの和菓子に妥協しない職人魂、
お客様に真心をこめて売り続ける愛情、
社員を対等に扱い育てる優しさ・・・
彼女を見ていると、
仕事とは本当に厳しいもので、
けれども決して弱音なんて吐いていられないいもので、
そこから得られるかけがえのないものがあることに気づかされます。
「背負うものがあるほど人は強くなる」
「親が一生懸命生きている、その姿を子に見せれば大丈夫」
・・・私も、弱音なんか吐いていられないですね。 -
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御歳80歳になられる稲垣社長。 そして社長が丹精込めて「練った」羊羹アンド最中の、たった二品目で行列が切れない和菓子店「小ざさ」の軌跡。
稲垣社長も凄いが、預金が封鎖された敗戦下の日本に、台湾より帰国し、すぐにキャラメルの製造、そして小ざさを立ち上げた親父さんもすごい。この親父さんの商売にまつわる教え「箱はキチンと並べすぎると取っつきにくいから少しズラして陳列する」や「店は雨が入っても、ちょっと下がって入店できるように設える」あるいは「お客さんのつま先がちょっとお店のほうを向いたときに声をかける」は、お菓子に人が求める心を知りぬいた達人の至言ではないでしょうか。
そして、親父さんを継ぐ二代 -
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2年前程前に読んだ本。
吉祥寺にある有名な和菓子屋さん『小ざさ』。
一坪の小さなお店にも関わらず年商3億を超える。
何より凄い事に、開店前から並ぶお客様の行列が
40年以上絶えないこと。
本書では小ざさの社長、稲垣篤子さんの半生が書かれている。お店や従業員への思い。家族、お父様から受け継いできた思い。
真面目に誠実に商売をされてきた方の言葉には
深く重みがある。
本書の中で書かれている大好きな言葉たち
『少しずつ少しずつ前に出ていけば、
いつか一番いいところに行ける。
だから、急がなくていい。
ただ前に出ることだけは忘れずに。』
『"ありがとうございます"も
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ネタバレ吉祥寺の駅前商店街の中にある和菓子屋「小ざさ」の社長稲垣篤子さんの「私の履歴書」的エッセイであり、ビジネス訓集だ。彼女の生き様、羊羹作りにかける姿勢は勿論すばらしいが、初代の社長で実父の伊神照男氏による薫陶が光る。
「事を始めるときに大方の人は、『資金や設備がないからできない』と言う。潤沢に揃えてからする事業なら、誰でもできる。なければ頭を使えばいい」
「一家を背負え、背負えば背負うだけ力が出てくるんだから、背負え」
戦火をかいくぐってきた男の凄まじい気概がにじみ出ている。
1971年11月に駅前に伊勢丹吉祥寺店がオープンした時も、
「もし、お客様が向こうに行ったとしても、コーヒ -
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吉祥寺にある、伝説級の和菓子屋「小ざさ」。
その現社長であり、78歳にしていまも現役の稲垣 篤子さんが綴る、これまでの軌跡といま。
「たった1坪で年商3億!」
「品数は,、「羊羹(1本580円)」と「もなか(1個54円)」の2品だけ!」
「40年以上早朝からとぎれない行列」
表紙や帯にならんだ、これらのセンセーショナルな文言から、
なにか画期的なマーケティングの手法、あるいは真髄、そういったことが書いてある本と思う向きもあるかも知れないし、あって当然とも思う。
しかし、そんな「ノウハウ」は、この本には書かれていない。
少なくとも文面の上では。
語られているのは、ただただ当たり前の