渋谷ゆう子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ウィーンフィルの音楽的な志向性を解説するのではなく、組織としての特性を解説した本。
ただ演奏を聴いているだけでは決して知ることはないことなので、興味深かった。
クラシックは、ただ好きで聞いているだけだ。
演奏だけを聞いて、これはどのオケの演奏で、誰の指揮かを聞き分けるなどという高等な芸当はできない。
いたって庶民的な耳をしている。
ウィーンフィルはすごいと子どもの時から刷り込まれてきて、どこがと言われると実はよくわかっていないのかもしれないのが実情。
長じてからは、よく言えば伝統と格式を大切にするオケ、悪く言えば…(ファンの方々ごめんなさい)保守的で排他的、ちょっといけずで敷居の高いオケという印象だろうか。
本書でも、ウィーンが、ある意味京都のような街で、コネクションを尊び、一見さんお断りに近い気風があることが書かれていた。
が、それより鮮烈に印象に残ったのは、ウィーンフィルが自らの音楽の独立性を守るために常任指揮者を置かず、マネジメントや事務仕事も一切楽団員たちが取り仕切っているということだ。
グローバル化の中で、どこも経済の効率性を求められ、同じような音楽になったり、そもそもオーケストラとして立ち行かなくなったりする。
そうした趨勢の中で見れば、彼らの姿勢が、ただの偏屈から、俄然強い意志を持って戦う人という感じに見えてくる。
その戦い方が時に武骨であったり、いささか生臭い政治的なものに見えたとしても。
筆者は音楽プロデューサーとして、ウィーンフィルの演奏の放映などにも関わったりした経歴の人。
本書ではウィーンフィルの歴史だけでなく、それこそ、楽団長や楽団員などとのコネクションを育てて得た情報もあって、面白い。
例えば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート。
ゲネプロからジルベスター、そして一日のマチネと3度同じプログラムを演奏する。
1日の生放送は世界中に生中継されるが、実は万一のことがあったら、すぐに他日の演奏に差し換える準備がされているという話に驚いた。
まあ、自分はニューイヤーコンサートよりプロムスに死ぬまでに行ってみたいと思うけれど。 -
Posted by ブクログ
ウィーン・フィルの歴史が長いのがよく分かったとともに、音楽の都といわれるウィーン市民のレベルの高さがガチで浮き彫りになった(自分の中で)。まず、「ポルカやワルツに日頃から慣れ親しんできたので」←は?????(目が点)となった。ワルツ…だ…と……???どれだけピアノでワルツのリズムを注意されてきたか…ワルツが当たり前ということに愕然とした。
あとはベートーヴェンの唯一のオペラ「フィデリオ」。これが初演失敗したというのは私でも知ってるくらい有名な話。しかしそれは演者の技術が追いついてないからで、「もっと高いレベルの奴に演奏させろ」と聴衆が声を上げたという話は本気で音楽を感じ取ってるからこそだと震えた。
コロナ禍(しかも2020年の1番ヤバい時)で団体自ら実験して問題ないこと証明してコンサート実現しちゃうのはすごい。ここでも音楽に対する本気度を感じる。この本を通して音楽は不滅だと思った。政治利用された背景もあるから、音楽と政治は関係ないと主張するのも深みがある。あらためてすごい。ウィーン・フィル。 -
Posted by ブクログ
カネと芸術は、いかに両立しうるか?
実は利益の少ないコンサート、助成金頼みのオーケストラ運営、音大卒でも少ない業界の受け皿。今、曲がり角に立つ日本のクラシック音楽。それでも、なぜクラシックは日本で必要なのか?いかに存続しうるのか?考えるヒントは歴史にある!明治の黎明期の明治期から「世界のオザワ」の戦後まで、日本で「興行」としていかにクラシックが発展してきたかを鮮やかに活写。本場の欧州やアメリカ、アジアの文化的土壌や音楽ビジネスとの比較を踏まえ、これからの日本のクラシックが進むべきビジョンを考える。
来日する海外オケのチケットの価格をながめると、庶民には縁がないなと思う。ならば、地元のオケを応援しましょう。