ルチル・シャルマのレビュー一覧
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現在進行系の話題はいつでも難しい。状況はすぐに変わるし、当事者のバイアス依存が大きいし、情報の正しさの検証も不足する。
なにより短期的には良い策だと結論が出たとしても、数年後には全く逆の結果となる場合すらある。
原因と結果の関連性が世界規模に及ぶ現代経済を理解することは、人類に可能なのだろうか?
本書は2012年時点において、多数の新興諸国から”次に抜け出す国”を見極めるため、各国の経済状況を細やかに見通す。
・賃金インフレ、労働力年齢構成、政府による暴力的な経済政策等、輸出依存で成長した先の新たな壁で減速しつつもソフトランディングを狙う中国
・成長の余地はあれど、肥大化した政府部門、縁故 -
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[ここが、次の槍頭]米欧日が減速する中で、次の世界経済の牽引役として、注目を集めた中国やインドをはじめとする新興諸国。ときに一括りにされて語られてしまう各国の経済を現実的な視点から眺め、次のブレイクアウト(注:本書では勃興、興隆を指す言葉として使用)を果たすのはどこかを見定めた一冊です。著者は、モルガン・スタンレーで新興市場とグローバルマクロの責任者を務めたルチル・シャルマ。訳者は、金融関係の書籍を多数翻訳されている鈴木立哉。
上記の2か国や「アジアの虎」に数えられる韓国や台湾、そしてロシアやブラジルといったメジャーどころだけでなく、スリランカやナイジェリアといった国々にまで視点が広げられ -
Posted by ブクログ
モルガンスタンレーのプロの投資家による、次の新興国になる国の分析論である。といっても、投資に興味をもっていなくても、BRICSや他の新興国候補と呼ばれる国がどのような状態なのかを知るにはとっても良い本である。
まずはBRICSに代表される、ブラジル、ロシア、インド、中国やそれに続く35カ国程度の分析がされている。国民所得、輸出品に含まれるコモディティの割合、制度、国民性などの観点から解説されるが、著者自身がその国に足を運び肌で感じてきたことをまとめているため、非常に説得力がある。特に現在の国民性や制度がその国の歴史からも説明されており、読み物としても飽きさせないところが良い。 -
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スゲー読みやすい上に・・・
スゲー面白い上に・・・
世間様で言われてるのと違う世界が見えてくる・・・
BRICsの時代は終わった・・・
かもね・・・
少なくとも株価見ている分にはもうブームは終わってるよね・・・
そして・・・
新興国なら何でもかんでも成長する・・・
何でもかんでも上昇する・・・
という時代ももう終わった・・・
そう・・・
新興国がドンドン先進国にキャッチアップしていく・・・
先進国と同じになるなんて・・・
幻想だよ、と・・・
この10年間が異常だっただけで・・・
世界が変わったんではないのだよ、と・・・
まずここ大事・・・
そう、だから、『 -
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本書はモルガン・スタンレーのシャルマ氏による世界各国の見立てで、どの国が今後「ブレイクアウトネーションズ」になるか、すなわち高成長をするかという本です。豊富なデータ分析と、彼自身の現地訪問の経験による感覚の両方が一貫して記載されているので、きわめて説得力があります。ただし他の方も指摘しているように、新興国の発表データをかなり鵜呑みにしている面もあり、もちろんそれを確かめるため現地訪問をしているとは思いますが、若干違和感を感じる面もありました。ただし国を見るときの注意点など多くのキーワードがちりばめられていて有益という印象です。
またこれはあくまで投資家/債権者の視点であることには留意が必要で -
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BRICsをはじめ、これから「突き抜けてくる」と予想される国家の潜在的リスクを総覧的に学べる。
人口構成の今後、政権の(実質的)世襲性、所謂、カントリーリスクなどとして、漠然と捉えられている構造上の問題に、実地で得られた情報が付加されている一冊。
例えば、中国では一人っ子政策の影響から今後10年で働き盛り(34歳~54歳)に達する人口はこれまでの1/18まで激減する。 一方、既にブレイクアウトネーションたるといって過言でない韓国で、資金導入をドライブしているのは、韓国総合株価指数(KOSPI)のビジネストレンドでの正確さに対する信頼感であるという事実。
他にもアフリカにおける治安の問題 -
Posted by ブクログ
経済学に精通していると得るものもより大きいのかもしれないが、そこに詳しくないため前半部は特に退屈。
特に行ったことも接点もない国の事を言われても、あまり興味が持てなかった(中国とインドは行った事あったけどそれでも退屈)。ただ、ヨーロッパ、アジア、アフリカといった地域内でも、政治や宗教、紛争等の要素によってその国の経済成長は随分と変わってくるという事が事細かに書かれており、なるほどと思った。
特に興味深かった内容は韓国の台頭について。経済危機に陥った際の日本は政府が企業に対して救済処置を取ったのに対し、韓国では大幅な企業の再編成を行って来たこと。即ち変化を受け入れる事が出来た事が、今の韓国の強さ