山口正介のレビュー一覧
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直木賞受賞作『江分利満氏の優雅な生活』など数々の名作小説や、世相を鋭く切り取るエッセイなどを世に送り出した山口瞳。その長男・山口正介が、父の作品に向かう姿勢や葛藤、家族関係など、作品では絶対に書いてこなかった、封印してきた闇のエピソードまですべてを初めて明らかにする。一度の休載もなく1614回連載されたコラム「男性自身」や『江分利満氏』シリーズなどが書かれた背景をはじめ、文壇や学友、終の棲家・国立の人々との交流、女性関係や隣家とのトラブルなどなど、息子でなければ書き得ない仰天エピソードが満載。『山口瞳電子全集』(全26巻)掲載の回想録「草臥山房通信」を大幅に加筆・修正した。
去年、「居酒屋兆 -
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もの書きを生業とする人、そしてその身内というのはつらいものだなあ。しみじみそう思わずにはいられない。山口瞳氏の息子である著者が「ぼくの父はこうして死んだ」に続いて、ここでは母の死に至るまでを綴っている。赤の他人の読者でさえ、ちょっと読むのが苦しくなるほど赤裸々に、著者と母親との長年の葛藤や、家庭内での出来事が語られる。ものを書くというのは本当に厳しいことだ。
三十代の頃だったか、山口瞳さんのエッセイを愛読していた時期があった。共感はしないけれど、全く違う世界を見るようで面白かったのだと思う。うまく言えないが、そこには得体の知れない屈折を抱えた「オトナの世界」があった。「江分利満氏」はこれから -
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「崩壊」なんていうタイトルだから、どんな凄いことが書いてあるかと思ったが(宣伝文句も激しかったし)、「崩壊」というより「終焉」という感じ。
山口瞳亡きあと、母と二人で暮らしていた著者(妻子なし)が、とうとう母の死を迎える。
本書は母とその死について多くを割いて書かれている。
読んでみて、お母さんは、堕胎やそれから始まる病気については気の毒だが、いい夫を持ち、息子はずっと一緒にいてくれて、結構幸せな人生だったのではないかと思う。息子に妻がいれば、必ずもめただろうし、ずっと息子についてもらうこともできない。
娘だったら同性の辛辣さで、もっと親子の対立があったかもしれない。
それに、癌が発見されても