箱田徹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミシェル・フーコーの入門書。100ページでまとめるというかなりの難業ではあるけれど、後期フーコーを中心に上手くポイントをとらえてまとめていると思う。
例のパノプティコンの話を端緒として、規律と生政治の概念の解説、新自由主義における統治の方法、そしてパレーシアから対抗導きと集合的主体の解説へと展開される。
後期フーコーを端的に捉えることができて便利だと思うけれど、おそらくフーコーがそうだからか、新自由主義的統治への対抗の仕方としての対抗導きは概念としては理解できるけど、具体的に像を結ぶことができない。司牧権力とは異なる仕方で羊を導くことが対抗の契機だとは思うけど、じゃあどうやって?、という疑問は -
Posted by ブクログ
著作が既に古典化しつつあるとはいえ、現代の思想家なので、フーコー研究は日々大きく変化し進んでいるのだそうです(なので、入門書は新しいものの方が良いという話をよく耳にします)。
特に、途絶したため謎を多く残した後期のフーコー思想は、研究者にとって読み解きがいがあるのでしょう...本書が後期思想(権力論から統治論へ)に対象を絞っているのも、そんな理由からなのだと思います。
ただ率直に言って、本書はフーコーの魅力を伝えるような内容にはイマイチなっておらず、淡々と後期思想を読解し、それをダイジェスト的に紹介している...という印象でした。
決して悪い本ではないのですが、論文集のなかの一論考といった感じ -
Posted by ブクログ
フーコーを100ページでまとめるとどうなるのか?
ということにはやはりならず、「後期」フーコーの入門書です。
個人的にフーコーで関心があるのは、権力論、主体論、統治論で、本でいうと「監獄の誕生」〜「性の歴史」、コレージュ・ド・フランスの講義でいうと76年の「社会は防衛しなければならない」〜84年の「真理の勇気」のあたりなので、この本で取り扱われているところとほぼ重なる。
フーコー関係を初めて読む人、あるいは、「後期フーコー」の著作なり、講義を全く読んだことがない人が、どの程度、これを読んでわかるのかどうかは全く不明だが、私的には頭の整理になった。
後期フーコーのキーワードの一つは、「生