佐伯緑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これぞまさに求めていた狸本…!
タヌキの生態に始まり、生狸学、進化学、分類学、系統学、さらには文化的側面たる化け学に至るまで。それも各々がかなり詳細に、論文等を引用して迫る様は本の題に相応しい。
国際学の章では進化の過程から、国内のみならず海外の亜種の特徴やそれを取り巻く現状に至るまで。
化け学の章でも文化や地理に基づきかなり深入りして展開されている。かつてこんなにもタヌキを網羅した作品があっただろうか。
内容の充足度だけではない。読んでいて、科学者なのに(といっては失礼か)達文で心地が良いなと思っていたら、どうやら読書家でもいらっしゃるようだ。その読み心地が読者を引き込ませるのは間違いないだ -
Posted by ブクログ
ジブリ映画では『平成狸合戦ぽんぽこ』(英語タイトルは”Pom Poko”)が一番好きだったりする。
生まれて初めて映画館で鑑賞した作品であり、タヌキたちの生態から変化(へんげ)までを夢中になって目で追いかけていた。
公開から28年後、「タヌキに取り憑かれた動物生態学者が書いた」と日経で本書が紹介されていた。
『ぽんぽこ』を思い出しながら早速本を捲っていくと、著者によるタヌキのイラストや直筆ほか、道着を身にまとった2足歩行のタヌキが描かれていた…! それがタイトルの由来で、大山倍達(極真空手の生みの親)の著書”What is Karate?”からもじったもの。(そして著者自身も極真空手を嗜まれ -
Posted by ブクログ
著者は野生動物、特にタヌキの研究者。
タヌキは、日本に広く分布し、昔話などに出てくることも多い。ある意味、日本を代表する野生動物だが、実は生態や進化についてはわかっていないことが多い。アライグマやアナグマと混同されることもある。
本書は一般向けに、タヌキの基礎知識を整理し、提示しようというもの。
タヌキの生物学・進化学・国際学・化(ばけ)学・実学・総合科学の総覧である。
タヌキは意外に小さい。季節によって体重は変動するが、おおまかには成獣は4~5kg程度とみられる。食肉目イヌ科で、基本、イヌの仲間と思えばよい。走り・泳ぎ・登り・狩り・穴掘りと、一通りこなすが、どれもそこそこ。いわゆる「器用