いくらでもイカレポンチになりそうなストーリーだが、抑制が効いていて、地に足ついた文章が非常に上手かった。
よくある同性同士の恋愛に焦点を当てているのかと思いきや、登場人物の人生、それがどう変化していくのか? が丁寧に描かれている。殻にこもっていた彼女たちが互いに手を取るようにして殻を破り、変わっていく様はまるで春になると芽吹く生命の輝きでも見せられているかのようだった。
下手なラブストーリーになると作者の「これが見たい」が暴走しがちだが、本作は緊張と緩和、抑圧と解放の対比が見事でグイグイと読み進めた。これで終わりだと少し寂しい。