嶋田博子のレビュー一覧
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人事院出身の研究者が、自身の経験を交えながら、「官僚」のこれまで・いま・これからのあるべき姿を論じている。諸外国の官僚事情を知る機会はなかなかないので興味深いし、筆者が天職として官僚を選んでもらうにはどうしたらいいか、について熱く考えているのが窺えるのも面白い。
これからの官僚制のあり方についての提言めいたものも提示されており、すごく雑に要約すると以下のようになる。すなわち、民間労働市場との関係も考えた際に、霞ヶ関の人材リソースに全ての押し付けるの無理であり、何を官僚に任せ/何を任せないのか、を整理する必要がある、そして国民の側は自らにもその整理のための責務の一端があることを認識し、それを意 -
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とかく批判されがちな日本の官僚ではあるが、各国の状況を見渡すと官僚機構そのものの持つ構造的な難しさが存在することが分かった。
経済合理性、市場原理だけではうまく機能しない、国への忠誠、政治家との関係など。
一方で日本の官僚特有の問題でも浮かび上がってくる。これは官僚に限らず日本の組織全般に当てはまる 問題と感じた。
業務分掌が曖昧なことによる業務量と人的リソースのアンバランス、報酬体系やインセンティブ構造を無視した責任追求など。
これからどんどんと下り坂に向かっていく日本という国家。これを何とか維持してターンアラウンドさせるためにも官僚の力は不可欠に思う。ただの政治家の人気取りに終わること -
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ネタバレ総合職試験では、合格者総数が採用予定数の約3倍。採用されないほうが多い。婚活に近い。合格すれば3年間有効。
かつては、省庁内での長期選抜制度、任期付き任用や官民交流、経験者採用はない。超過勤務手当予算はモラルハザードになるという理由で引き上げられなかったため、サービス残業があたりまえとなった。100時間以上残業しても手当は22時間分。朝はルーズ、昼も長めにとる。超勤手当を払っていないので時間管理はルーズだった。50代前半までには事務次官候補を残して退職する。天下り。上級職以外は定年まで勤めることが普通。
2031年には、定年65歳となる。民主党政権下で事務次官会見がなくなり、受身になる状況 -
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京大を卒業後、霞ヶ関の裏方・「人事院」に33年間勤め、母校の京大教授に転じた著者による日本の官僚論。「官僚という職業」の紹介ではないので、「官僚がどんな風に仕事しているのか」を経験から教えてくれるような内容では全くありません。官僚の姿を俯瞰的に眺めてあるべき姿を探る学術書的な一冊です。
近代官僚という仕組みの歴史を主要各国の状況も参考にしつつ、バブル崩壊後の平成30年を通した日本の「公務員改革」の結果などをまとめてくれています。
新書とは言え決して読みやすいとは言えないので、各章の「小括」と、最後の「結び」だけ読んでも良いかと思う。終盤の官僚を臨床医に喩えた部分などは分かりやすかった。