ニューヨーク・タイムズ・マガジンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編小説になると、自分の場合各話の背景を探るのにいちいち時間を要してしまう。
しかし本書に関しては、その心配をする必要はない。どの話の背景もパンデミック中の出来事だから。
1348年ペストから逃れるため、フィレンツェ郊外に逃亡した男女による創作話をまとめた『デカメロン』に倣い、21世紀を生きる計29の作家が本書のために29の物語を提供した。アメリカをはじめ、英語圏でも評価を得ている他言語の作家も参加しており、なかなかに国際色豊かだった。いつものように、心に引っかかった何篇かを引っ張り出したい。
思えば2020年の惨めな生活を振り返らないまま、今日まで来てしまった。当時の自分のみならず、似た -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
ニューヨーク・タイムズマガジンが、現代のデカメロンを作ったらどうかと、作家たちに声をかけ、
7月には特集号になったというから、驚きのスピードだ。
ケイトリン・ローバーによる序文にこうある。
_人生でも指折りに恐ろしい経験のさらに深く放り込まれてはきても、作家たちが芸術作品を作っているのだと分かった。略
最良の文学作品とは読み手を遠くに連れていくだけでなく、自分たちがどこにいるのかをはっきりと理解させてくれるものなのだ_
合わない作者ももちろんいたけれど、
どれもこれも本当にあの2020年の春の事を書いていて、リアルだった。
不安と、現実逃避と、希望とが入り交じって。
短い作