リチャード・シェパードのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本の内容にはまったく関係ないけどこの人の言い回しとか表現とかいちいち好きだわぁ
なんかすごい詩的でおしゃれでセンスがよろし
“あなたにできることはなかった”
これは多くの遺族にとって、とても重要な言葉だ
遺族が経験する悲嘆の段階の1つに、罪悪感がある
この言葉は魔法のように罪悪感を消してはくれないが、少し早く消し去ってくれる
9.11で人体組織とか骨の破片が混じった瓦礫をふるいにかける仕事をした人が、飛行機の搭乗前に自分の身体のすべてのパーツ、手足の1本1本に自分の名前を書いた(墜落して体がバラバラになった場合に備えて)ってすげーエピソード
えぇ〜著者の人生あんまり山あり谷ありすぎる
め -
Posted by ブクログ
イギリス法医学者の半世紀を振り返った自伝
ここでいう不自然とは自然死ではないこと、つまり、殺人や事故で亡くなったことを指す。法医学者はそうした不自然な死の原因を解剖に基づいて探究していく人たちである。
この本の冒頭にはアレクサンダー・ポープの『批判論』の詩が載せられている。著者の父が彼に与えた言葉だ。まず、この詩を読んで、「間違いなく、この本は面白い」と思った。仕事人生のなかでなんどもなんども、この詩が思い出されていく。憧れた職業に就き、その仕事人生を謳歌していたものの、「真実」をめぐり、その仕事に徐々に裏切られていく。それでも、シェパード博士が不自然な死に魅せられているのは変わらない。真実を -
Posted by ブクログ
「私はずっと、赤ん坊がいないことで途方に暮れていたが、今は赤ん坊がいるせいで途方に暮れている。」ってすごい良いなー!響いた。
全然子育てには関係ない本だけど、著者の日常が織り込まれ法医学者だって私たちと何も変わらない人間なんだと思わせてくれる。
赤ちゃんの遺体が出て事件性が疑われる場合、死産だと殺人にならないので生きていたと証明することが仕事。赤ちゃんの体の仕組みについて書いてあって読み込んでしまった。辛い。
この本の中でサリークラークという女性の話が出てきた。彼女は2人の子供が立て続けにSIDSで亡くなったことに事件性を疑われ収監。のちにこの有罪判決は取り消しとなるんだけど、その頃にはサリー -
Posted by ブクログ
この時期になると、何故かずっしり来るような本を読みたくなる。
ちなみに去年は『白い鶴よ、翼を貸しておくれ』がそれにあたり、結果ずっしり来たけど感動した。本書においてもそれは同じである。
ただ本書の場合は「感動した」と言うより「心を揺さぶられた」のニュアンスに近いかもしれない。そのうえ自分はいつにも増して心に訴えかけるものを求めていたんだな、と読後にして気づかされた。
著者はイギリスの法病理学者(法医学者)。自然死あるいは不自然死(犯罪絡み等)の遺体を解剖し死因を特定する仕事で、彼の子供達の言葉を借りるなら「人を治さない医者」だ。日本でも、ドラマ『アンナチュラル』で一躍認識された職業ではないか -
Posted by ブクログ
9.11テロ事件、ダイアナ元妃の事故、バリ島テロ・・・その他、実際の犯罪や事故による様々な検死・解剖のほか、
他殺に見える自殺遺体や、老衰と思われた毒殺事件など、
ミステリー小説を超える究極のノンフィクションがついに上陸!
これは売り文句を間違えているのでは?と思った。著名な法医学者の半生を描いた自伝的エッセイです。ミステリ要素はあまりない。仕事柄すごく分かるのだけれど、そんなドラマみたいに何でもかんでも分かるわけないのよね。ひたすら地味で堅実な作業の上に成り立っている仕事であり、フィクションのおかげで勘違いしている患者や遺族はとても多い。心に傷を負ってしまった筆者が気の毒でしたが、少し希望の -
Posted by ブクログ
自伝的な内容とは思わずに読み始めたので、あれ?となったのだけれど、なめらかな語り口にするすると読めてしまった。
法医学とは?という疑問にも答えてくれるし、事実を解明する道筋の面白さもある。そして自然と、死、そこへ至るまでの生についても考えてしまった。
彼がかかわるのは、事件や事故、災害などによってもたらされる不自然な死だから、どの死にも無念がある。そして、「人間の人間に対する残酷さ」も。それを白日のもと明らかにするため、法医学者は調べ尽くそうとする。
9.11の話、東日本大震災のことも思い出されて、胸塞がる気持ちがした。無念の死に触れることは、なんとつらいことか。