めくるめく因縁が紡ぐ怪談。
親同士から続く怨恨の間柄とも知らず、十以上の年の差を超えて惹かれ合う新吉と豊志賀。しかし仇の息子に溺れていく娘を戒めるかのように豊志賀の顔にできた瘍は、新吉の気持ちを急速に遠ざけていく。
不誠実な年下の男への“この後妻を持てばきっととり殺す”という年上の女の執念は恐ろしく
...続きを読むもどこか切ないな。二人の愛憎の行方も見所だが、お隅の悲壮な決意の仇討ちの決着を見届けたくなる後半もなかなか劇的。
複雑に縺れ入り組んで繋がる登場人物の因果な系図に殺人という業の罪深さを思わずにはいられない。