京橋史織のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
クラウドファンディングでの身代金の募集というアイディアは目新しいが、人道的な目的でのお金の拠出という意味で、百田の『野良犬の値段』を思わせる。
ただどちらにしても、テロリストが民間人を誘拐し身代金を要求した際に、国がお金を出すことに対し、「テロリストの要求には屈しない」という姿勢が評価されがちなことを考えると、人々がお金を払うことをそんなにポジティブに捉えるだろうかということが納得しがたい。
この小説の中に、そうした視点がまったく出てこないのにも首をかしげる。
とはいえ、こうした犯罪が生まれた別のディテールやどんでん返しはなかなかもっともらしく、十分楽しく読んだ。今後が楽しみ。